思いつくまま、気の向くまま 文と写真は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせいのホビーは全身全霊全力発動です。
暑さ狂い・2大のカメラ
とにかく暑い。
古今東西を問わず気温が高くなると頭がおかしくなると言われている。
最高気温35度という日がつづいた先々週、ふだん小さなデジカメばかり使っている反動
かどうかわからないが、急に大きなカメラを使いたくなった。
大きなカメラといっても仕事で使っていた俗にいう大型カメラではなく、感光材料の関係
でカメラを小さく作れなかった時代の大きなカメラだ。
2台とも約80年前に作られた、手札判というL判をひとまわり小さくしたサイズが写る
カメラである。もちろん現在このサイズのフィルムはない。
このカメラで写すには、いま手に入るブローニーフィルムを使うわけだがカメラについて
きたフィルムホルダーも70年前のしろもので光線は漏れるし精度がわるい。
そこで手持ちの近代的ロールフィルムホルダーを取り付けるアダプターを作ることにした。
さいわい本体が木製なのでアダプターも木でつくればよいのだが、この2台は規格がちが
うので二つ作らなければならない。そのうえ長いこと放ったらかしておいたのでシャッタ
ーのメンテナンスもしなければならない。どちらも根気のいる作業である。
ココ通の原稿なんか放っておけ、と指物師と時計屋の世界に没頭したので思いのほかいい
仕事ができた。しかし、ふり返ってみるとこの猛暑の時期にやることではなかった。
「暑さというものは人を狂わせる」、という言葉は正しかった。