7/29のねこさん 文は田島薫
肩乗りねこさん
先週、家人の父親の見舞いなどで長野へ行き、家人と現地で2〜3日滞在用の食料を買い
出しに行った帰り、幹線からはずれまばらに住宅が建ってる細いうねった道を歩いてると、
私より数メートル後ろの家人が、あれ?犬かなねこかな、などと言いながら立ち止ってる。
見ると細い水路沿いの道の向こうから肩に黒い動物らしいもんを乗せた小太りのおばさん
が歩いて来る。ふたりで待ち伏せしてると、でっぷりとでかくて黒のねこさんがおばさん
の肩に腹ばい後ろ向きにしがみついているのがそばへ来た。耳のたれたねこさんで、のら
だったのを飼ったらしいおばさんに、ねこさん、そういうかっこで以外はいやがって抱か
せないんだそうだった。ねこさん、われわれがさわっても、平然として無表情。
お、またおばさんと散歩か、ぼくは自分の足あっから自分で歩く、つってんのに、おばさ
ん、ぼくを赤ちゃんと勘違いしてるらしんだね〜、で、そば来るとすぐ、ぼくをだっこし
ようとすんで困っちゃうんだ、だって、かっくわりーじゃん。赤ちゃんみたいにだっこさ
れちゃ、だから、ぼくはせめて、なるべくかっくわりくない抱かれ方考えてこういうかっ
こになったんだよな。おばさん散歩してぼくに運動させてる気んなってるよーなんだけど、
ぼくはちっとも運動になってませんから、運動んなってるのは、おばさんだけですから、
まいったまいった、はやくそこんとこ気がついてもらいたいんで、ぼくは、こーゆーかっ
この散歩はほんとは、やなんですよー、って顔して見せてるんだけど、あり?ぼくの顔、
おばさんの後ろ向いちゃってるから、おばさんには見えないか〜、だから、おばさん、き
っとぼくがうれしそ〜な顔してるはずだ、って思い込んじゃってんのか。あり?向こうで
へんな2人組が笑ってるぞ、やばい、ここでぼくも甘い顔しちゃだめなんだよな、ぼくは
今不機嫌なんだぜ、つーところを、おばさんにわからせなくちゃならないんだから。