10/15の日記          文は田島薫



写真モデルになった日


家人と私はただ同居して同じ藉の届け出をしただけで、ちゃんとした案内は親戚にも友

人たちにもせず、つき合いのある友人や親族に折にふれ伝える、といったことしかして

ないんで、家人の気持ちを憶測した生前のおふくろから写真館で写真だけは撮りなさい、

って言われてたんだけど、それさえ後回しにしてるうちにおふくろは死んでしまった。

これはおふくろに対する親不孝でもあったなあ、っていつも頭のどっかでひっかかって

たんだけど、昨日の休日、家人が、美容院行って来ようかな、って言うんで、言って来

いよ、って言うと、その後写真館でふたりで写真撮らない?、って言うんで、ん〜ん、

って少し渋ったふりしてから、そ〜すっか、ってことに。

夕方、ふたりでスーツ来て予約した写真館へ行き写真を撮ってもらった。キャビネの1

カットでいい、って言ってるのに、カメラマンは助手とふたりでいろいろお世辞言いな

がらこっちのポーズをあれこれ変えさせて何カットもシャッター切った。で、デジタル

だからすぐに撮ったもんのセレクトを相談できるんだけど、あいにくその日彼らは忙し

いんで、また後日予約した日時にわれわれは出直してそれをする必要があるようだった。

なんだかたかが写真1枚のつもりが知らないうちに大仕事んなってる模様。

写真館出たら、ちょっと疲れたからそろそろ日暮だし、どっかでひと休みすっか、って

ことになり、駅前通りの駅前に以前あった給食室のような安居酒屋が、また同様の別な

店に代わってたんで、入ってみた。

値段も味も量もまあいんじゃね〜の、ってまぐろの刺身と大根の量だけはまあいんじゃ

ね〜の、っておでん盛り合わせと、ちょっと高いけどボリュームたっぶりを謳うイカ天

のボリュームは身よりもころもと大根おろしの量のことのようだった、ってやつ食いな

がら瓶ビール1本と熱燗1合と家人は梅酒を1杯飲んでから出た。

家の手前のスーパーでビールを買って帰ると、なんだか、晩飯はもういらない感じ、っ

てことで意見が一致し、ふたりとも納豆豆腐だけにして、私はちょこっと酒をもう1杯。

家人は梅酒が効いたみたいで横んなって居眠り。私もテレキャスター弾いてるうちに眠

気が、ってことで、こんなんでよかったんだろうか、きょうの日は。




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