思いつくまま、気の向くまま 文は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
さすがのシャンせんせい、うまく場をまとめたようです。
ハイブリッド雛
3月3日はひな祭り
わが家にもひな祭りの対象者はいる。
そのたびにお出ましになるのが体高2センチ強のミニお雛様。
30年ほどまえに死んだご先祖様の一人の遺品のなかにあったもので、見ておわかりの
ように内裏雛と五人囃子は造りがちがっていてセットではない。とくに五人囃子は桐の
箱に入っていて何の誰がしと銘がはいっている。贅沢な暮しをしていた人なので悪いも
のではないだろうと毎年飾っているが、三人官女がないのがさびしい。まるで後家さん
のあつまりのようだ。
そこで骨董市や古道具屋をさがしたのだがお雛様の半端物というのはなかなかない。あ
たらしいものを買ってきて三人官女だけぬいてしまうとまた後家さんができてしまう。
いくら落語の「後家殺し」が夢でも後味がわるい。
しかたがないので、せめて飾り物だけでもと大分前に一緒に遺されていた木版刷りの千
代紙で作った。