●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、われわれ国民自身へも問題提起です。



あの日から

あの日から瞬く間に1年が過ぎました。

破壊された原発が復興の大きな妨げとなって、悲劇を一層大きくしています。

また、日本の中枢の病理のようなものが次々と明らかにされました。

例えば、政府や原発関係者は事故直後の「想定外」「ただちに健康に影響を与えるもの

ではない」といったまやかしの言葉に象徴されるように、いい加減で無責任であること。

原発にはたくさんのお金が動き、工業優先の国策で札束と確証のない安全神話で僻地の

農漁村につくったこと。

復興とは名ばかりで政治家は党利党略を、官僚は自分の利権ばかりを考えていること。

などなど。

政治不信の声は高まるばかり。やりきれません。

被災者の人々の口から「しかたがない」「がんばるしかない」といった言葉をよく聞き

ます。まさに日本人なのです。いままで日本人は何事も仕方がないと諦めて働き蜂とな

って頑張り続けて、経済をこれまで発展させてきたのですから。それが日本人の底力と

いえばそうなのですが、横並びと受身の姿勢に危うさも感じます。

敗戦国日本はアメリカの豊かさに憧れ、アメリカのすべてを模倣し、お金万能の経済発

展を目標にしました。アメリカンドリームです。アメリカンドリームとは一獲千金です。

ずっと今まで幸せの優先順位が経済の時代でした。

確かに高度成長の恩恵を受けました。でも、もうこの辺で、と警鐘を鳴らしたのが今回

の震災です。

あなたは幸せですか? 将来への不安はありませんか? と問えば多くの人から悲観的

な答えが返ってくるでしょう。

物ばかりが豊かになって人間を幸福にしないシステムは、変えるしかありません。「み

んなそうだから」「しかたがない」とあきらめる前に、どうしたら幸せになれるかと考

え直して、具体的に「なんとかする」と行動に移すしかありませんね。


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