●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
さすがのもどきさんは熱気の中でわりあい冷静だったようです。
気をもらう
「美輪明宏のコンサートへ行ってん。よかったわあ。歌もうまいけど、しゃべくりもまた
いいんやで。歌も言葉もぐぐぐーと胸の中に深く響くんねん。ほら、美輪明宏って人生相
談とかスピリチャルな世界に詳しいやんか、すっかり雰囲気に呑まれてしもうたわ。ごっ
つう気ィもらって、まだその気が1ヶ月続いとるねん」
大阪弁丸出しで興奮気味に語るのは私の親愛なる絵の先生である。
こんな迫力ある感想を聞いて、しかも気をもらえるのならと、お調子者の私はすぐ美輪明
宏のコンサートをネットで調べると、ありました! 全国ツアーをしているのだが、残念
なことに私の行かれる範囲の場所はすでに完売。
だいぶ先ならと神奈川県民ホールに2月15日にやってくるとの情報を得て、早々とチケ
ットをゲットしたのでした。これが去年の秋の話。
あれから待つこと半年、15日に念願叶ってコンサートへ行ってきました!
シャンソンにふさわしい星降る夜、とはいかず、どんより曇る北風ぴゅーぴゅーの寒い夜、
コート、ブーツに手袋、マスクと月光仮面顔負けの完全武装でホールへつくと、30分前
なのに老若男女(女性が圧倒的に多い)の熱烈ファンで熱気がムンムン。
カーテンがあくと、あの金髪、ど派手コスチュームと思いきや意外にも短髪、黒尽くめの
銀巴里当時を彷彿とさせるスタイルで登場。
初めからトークがすさまじく、生き方、世相、社会批判、交友関係、芸能など毒舌を交え、
話が話を呼んでとどまることをしらず。ようやく歌に入り、唱歌、シャンソン、十八番の
ヨイトマケで第一部を終わり、二部はドラマチックなシャンソンを体を張って歌い上げる。
その間にトークにつぐトーク。
一緒に行ったKちゃんは「洗脳されたみたい」とボーとなってつぶやき、私は「歌う教祖
さま」からたっぷり気をもらって大満足。
苦労と努力を重ねた末の開眼、やはり美輪明宏はヒトカドの人物でありました。