●連載
がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞いてみよう!

たえちゃん、映画スターを介して厳しい時代に想いを巡らしたようだす。



マイウェイ〜12,000キロの真実〜

今年になって初めて観た映画。

お友達を誘って、しんしんと冷える晩、私のつたない運転で映画館へ。

オダギリジョーとチャン・ドンゴンの2大スターの共演、ということで行ったのだが、予

想以上に素晴らしい映画だった。

時代に翻弄され、韓国と日本が争わなくてはならなかった時代。

日本独特の考え方で他国の人に接していたら、誤解が生じる。お互いに歩み寄らなかった

時代。しかし今は、これまでの時代を反省しながら、お互いが理解をしようと努力できる

時代だと思っている。私もお友達も、「今の時代に生まれて良かったね。」と言い合った。


旧ソ連のシーンでは、抑留されていた大叔父の話を思い出した。

「寒いじゃ済まなかった。朝起きたら隣の人が死んで冷たくなっていた。食事も薄いパン

に薄い塩水の汁だった。」と言うような話を、小さい頃から聞いていた。5年ほど抑留さ

れていて、山形に帰ってきたときは、痩せすぎていて誰だか分らなかったと、曾祖母が言

っていたそうだ。大叔父は今でも健在だが、人一倍丈夫な体と強靭な精神力だったからこ

そ、生き延びて運良く帰って来られたのだと思っている。恨みがましいことは一切言って

いないが、大変だった、ひどい環境だった、ということだけは言っている。

そのような話を思い出しながら、この映画を観ていた。

山形出身の少佐は、もしかしたら大叔父のことかもしれない、と想像してみたり。

一枚の写真、実際の人物をもとにしたフィクションだが、当時の混乱した時代、もしかし

たら彼らのような人がもっとたくさんいたかもしれない。


オダギリジョーさん、彼はとても美しい演技者です。ドラマ以外で初めて彼の演技を見ま

したが、繊細で洗練されている役者だと感じました。

曹長役の山本太郎さん、昔から大好きですが、このような狂気の人物を演じきる力と器用

さが素晴らしいと思っています。

チャン・ドンゴンもさんは、言うまでも無く、本当に素晴らしい役者さんです。今回はど

んな状況であっても自分の意思を貫き通す、強い人物を演じています。

韓国の出演者の方々も皆さん、とても流暢な日本語でしたので、スクリーンに集中するこ

とが出来、強いリアリティを感じました。


戻る