3/28の日記          文は田島薫

粋な肴でビール

パンや塩だけのおにぎり1個だけが夜のディナーだったり、被災以来こんな暖かくて美

味しい食事ははじめてだ、って言って、わずかな具の浮かぶ豚汁に喜んでいる避難所の

人々を、毎日、テレビで見ながら、腹いっぱいの食事をしてるのが済まない気分になり

ながら、店から消えた納豆をなんとか買えないもんかと、朝1で店に出かけたりするわ

が自己中の日々。

私は何年にもわたり、それを毎日食ってたわけで、それがないと、なんとも体調の安定

に不安を感じるぐらいの欠乏感があるわけで(大げさだけど)、震災後はじめて3個入

り1パックだけ買えたのが先週の水曜ぐらいで、その時まで、冷凍庫のストックのそれ

をそれまでの毎日2個から1個づつに減らして食ってた最期の1個が前日終わってて、ぎ

りぎりセーフだったんだけど、その土曜の朝も同じ状況でぎりぎりセーフをねらってた

ら、どうも、その日は入荷がゼロのようだったもんで、代りに油揚のパックを買った。

で、その晩、納豆がないことを忘れ、いつもそれに追加してた山芋を切ってしまったこ

とに気がつき、とろろにするほどの量でもないんで、スライスして小皿に分けたら、な

んだか酒の肴風に見えたもんで、じゃ、油揚も添えちゃおう、ってオーブントースター

であぶり皿に分け醤油をたらした、じゃ、夕食の前にビールで乾杯、って家人と缶ビー

ル(第3の)を1本だけ開けたら、いつも飯といっしょに飲んでた2本より旨い(当たり

前だろ、わかっちゃいたんだけど、めんどーだったんだね)。で、気持ちよくなり、も

う、飯にビールはいらない、食後にショーチューにしよう、って、これで、少し贅沢を

改善して被災者のみなさまにも申し訳が立つ(立たへん立たへん)。

翌日曜は、いい加減おなじみのテレビは音を絞って、あんまり見ないふりしながら、き

ょう返却予定で読み残しのある本を読むことにした。

読んだ後は、午後早めに出て、図書館とレンタルDVDにも行き返さなけりゃならない。

レンタルDVDは先週に続き残りの中年ハードロックバンドの映画「アルビル」を週末に

観ていて、その演奏テクニックのすごさと臆すことのない歌詞の馬鹿馬鹿しさや、その

情熱に敬意を感じたりしたもんだったんだけど。

で、帰って来て、風呂上がりの夕方は、得意のお通しでビールを一杯。う〜ん、旨。




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