●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどき夫妻のこころがゆれる初体験。
サッカー観戦
先日、日産のイベントに立ち寄ったときのこと。
受付でくじを引いた。
(どうせ、はずれよ)と無造作にガラガラポンをまわすと白い玉がでた。
すると、受付の女性が驚いたように「スゴーイ!」と叫び、満面の笑みで「おめでとうご
ざいまーす。特賞でーす」というではないか。
(えっ、特賞?)と私はちょっと興奮。(一体、ナニがもらえるの!)と期待に胸がふく
らんだ。
受付の女性はにこやかに「日産スタジアムで行われるサッカーの特別席チケットでござい
ます」といって、うやうやしく封筒を渡してくれた。
開けてみると、横浜F・マリノスvsジュビロ磐田戦8月20日19:00日産SS席\
5000のチケット2枚が入っている。
私は(なーんだ)とふくらんだ胸はたちまちしぼむ。なにしろサッカーには世界的なメジ
ャーな試合と最近のなでしこジャパンぐらいしか関心のない私なのだ。
まさにこのチケットは“猫に小判”“ブタに真珠”。
ココア通信の諸氏ならばきっと泣いて喜ぶに違いないのだが・・・
でも金額にするとスゴイ。なにしろ10000円だもんね。あさましくも(ああ、これが
現金なら…)と思い、(いや、せめてお芝居か、音楽会のチケットなら…)とも思い、そ
の不運(!)を嘆いた。
家に帰って夫に言ったら、サッカーに関しては私と同じようなレベルなのに意外にも「行
こう!」という。きっと5000円席に目がくらんだのかもしれない。
さて、当日。不運は続くものであの猛暑が嘘のように薄ら寒い小雨模様となった。夫と夕
涼みがてらの見物があてがはずれたね、とブツブツいいながら出かけると、着いて驚いた。
広いスタジアムはほとんど埋め尽くされた観客のすでにノリノリのサポーターの応援で興
奮状態。しかも我々の席は一階最前列の特等席。
実は行く前、青いユニフォームで「オーレーオレ!」の連呼の熱狂的なサポーターに囲ま
れ、なんのグッズももたず、しんみり見ている我々は相当浮いてしまうのではないかと恐
れていたのだ。だが、熱狂的なのはマリノス側の応援席で、幸い、座った席は左隣も結構
年配者で静か、右隣は若い家族連れでおとなしかったのホッとする。
雨合羽を着て寒さをしのいで見るサッカーに、やはりテレビの方がわかりやすいや、とき
ょろきょろ見ていると、あの中村俊輔がいる、中澤祐二がいる。そして試合よりマリノス
の応援席の迫力にだんだん気分が高揚してきた。太鼓の音、応援歌、派手な大旗振り、指
笛、ジャンプ、まるで地鳴りのようである。ああ、これが臨場感っていうものか…
日常になにもかも忘れてこんな心から応援するものとひとときがあったら、人生楽しいな、
と思ったりした。
そんな私も目の前でマリノスの小野がゴールを決めたときは興奮したのだった。折しもな
でしこジャパンフィーバー、果たしてこれから私もサポーターに昇格するだろうか?