思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、自分でも言ってますが、いろんなこと言っても
よんじゅうろくえんしか払っておりません。




よんまんろくせんにち



朝の天気予報では「梅雨明けはまだ…」と言っていたのに、昼には「関東地方の梅雨があ

けました」とさ。

目の前の天気はかわらないのだが、梅雨があけたといわれるとなんとなく気分がうきたつ。

「梅雨があけたってさ。ほおずき市へ行って、帰りにアサヒのビアホールどうだ」老妻は

夕飯を作らなくて済むことはすべてOKである。


数年ぶりのほおずき市は店の数も少なくだいぶ様変わりをしていた。

聞いてみると店の数は最盛期の半分もないという。

ゆかた姿の女の子もちらほら、大人のゆかた姿はほとんど見ない。

ほおずきを買う人もすくない。なぜ浅草寺の四万六千日にほおずき市が立つのか知らない

人が多いのだからしかたがない。それ以上にいけないのは数十年前から全店統一値段にし

てしまったことにある。このような場所では値切ってこその楽しみがある。デパートみた

いに定価販売では情緒もなにもあったものではない。

もっとも、浅草寺のスピーカーからながれてくる四万六千日の由来についての放送が「よ

んまんろくせんにち」といっている。これを聞いたら落語の文楽もあの世で腰をぬかす。

「しまんろくせんにち、お暑いさかりでございます」。聞いただけで汗がでてくる名調子

もとおい昔のこと。本家本元がこうなのだから情緒を求めるほうがヤボなのかも。

まあ、これも時代というものだとあきらめて、世の中ろくでもないことが続くのでひとつ

観音様のご利益にあやかろうとお参りをした。普段は飲み屋のお参りはしても観音様は素

通りだ。


お賽銭は四万六千日にあやかって四十六円也。これで原発平癒から菅首相退陣までの願掛

けはすこし虫がよすぎたか。

美味いビールに酔って帰宅して、ふと新聞を見たら本当の四万六千日の7月10日は明日

だった。これで菅首相も安泰だろう。


よんまんろくせんにち 昭和も遠くなりにけり


戻る