思いつくまま、気の向くまま 文は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、地震原発の影で他の重大問題が発生中、って警告してます。
いやはや開門
諫早湾干拓地水門の開門調査にあたって環境アセスメントの中間報告があった。
開門対策事業費になんと80〜1000億円かかるという。
その内容は、よくもまあこれだけ微に入り細にわたって項目をあげたというくらい細かい
ところまで目が届いている。これだけの丁寧な調査を干拓計画発足時にやっておけば今日
のような問題は起きなかっただろう。
なんて感心している場合ではない。これらの数字はすべて既成事実を守るためのもので、
開門するとこんなに金がかかる。だから諦めろという恫喝にほかならない。
そもそも行政の決定を司法がくつがえすことがおかしい。それは、行政の決定に瑕疵があ
ったということで、一部の利益にかたより広い視野で検討しなかった証しである。
それを、今回の中間報告のように本質から離れた内容にすりかえるとは役人諸侯の頭の良
さに怒りもわすれ、恐れ入るばかりである。
どうも日本の政治家や官僚は一度決めたことの軌道修正はお嫌いなようである。人はこれ
を利権のせいでしょう、と簡単に片づけるが役所の在り方にも問題がある。
諫早湾干拓の監督省庁は農林水産省だが、同省は農業と水産業の双方を司る役所だ。
今回の報告は農業にくみした結果であって、水産業の保護はどうなっているのだろう。
相反する利害を一人の大臣が決裁できるのか。官庁合理化の掛け声で安易に役所の統合を
したつけがまわってきた。
同じ様に利害が反する組織をかかえた省庁に、原発問題で揺れる経済産業省、福祉と雇用
に頭をなやます厚生労働省がある。利害が一致する国土交通相なんて珍しい。さすが元建
設省と運輸省、これは番外か。
このような非合理的な組織温存のために税金のむだ遣いをされたのではたまらない。
『胸襟を開く』という言葉がある。辞書によれば、『心の中を隠すところなく打ち明ける』
とあるが、胸の内にはそれぞれの思惑や利害が潜む。
しかし、それらにとらわれて物事を動かされてはたまらない。ここらでもう一度役所の門戸
を開いて、合理的な再編をする必要があるのではないか。