5/23の日記          文は田島薫

二人の俳優の死

どちらもたしか77才、俳優の児玉清と長門裕之が続けて亡くなり、その足跡や生活などがテ

レビで紹介されていた。

どちらも、テレビなどでしかあまり出演作を観たこともなく、私にとっては気に入った俳優

とはいえないんだけど、どちらもお馴染みの顔だし、それぞれのキャラクターを勝手に鑑賞

させていただいたりして、やはりなんだか心に残るものがある。

児玉さんの方は、はちゃめちゃな暴れんぼうみたいな俳優を面白がる傾向の私には、生真面

目過ぎて、なんだか面白くない人だな〜、って見えてたんだけど、私自身だんだん年を取っ

て来たせいか、俳優なども、いい年令なのに暴れんぼう、ってだけのような人は(そんなや

つはいない)、こりゃ本物の馬鹿かもな(私のことではない)、って少し気持ちが引くよう

になってきて、真面目に対する見方や評価が少しづつ違って来てるようなのだ。児玉さんは

演技についても生真面目に考え、いい加減な台本の仕事は断っていたそうで、この生真面目

さには志しを感じさせられ感心した。ふだんの立ち居振る舞いも、感情を表に出さずにスマ

ートさやダンディズムを大事にしてたようで、これも俳優業の王道だろう。

一方長門さんの方は少しらんぼう者だったかもしれない。周囲の反対や批判もあったろうけ

ど、認知症になった女優の妻との介護生活を臆さずに公開したことは、自分たちの愛に強い

信念があったためだろう。カメラの前で困ったり、泣いたり、喜んだりし合ってる姿は、演

技者の真実(?)を示してるようで、私を含め、これを見た人々全員に何か大事な事を感じ

させたはずだ。

当たり前のことなんだろうけど、人にはそれぞれの性格やら生き方があるわけで、それを単

に好き嫌いだけで切ったりつなげたりしてても、本当のことはわからないわけで、そういっ

た俳優などの有名人は、いろんな人の生き方の見本を、自身の身をさらしてわかりやすく見

せてくれてるのかもしれない。




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