サニーイズム          文と写真はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だより。
なるほど的こういう場合の電気会社の意外な仕事ぶり。



「 樹木と八人の男 」

12月に入って西風が吹いてやっと最後の葉っぱが飛んだので

そろそろいいだろうと電気会社に連絡をする。

「電線に枝が掛かるので伐採して欲しいんですが」と。

あくる日に首からカメラをぶら下げた制服社員二人がさっそく

やってきて「太さ70ミリが何本、枝別れ基点からうんぬん・・」

などなどスケッチをしつつ「年内のスケジュールはけっこう

うんぬん」でと言いながらも

要は「だいたいあのへんで切るってことで承知しました」って書類を

作りあっちからこっちから写真を撮って帰っていった。

それから2週間ぐらいたった朝に六人の伐採人が突然にやってきた。

どこまでも伸びるような箱をアームで伸ばす車両に、伐採した樹木を

確保するトラックが二台。蛍光ベルトを背負ったガードマンが二人で

舗道にカラコンを並べ、チェーンソーの音が早々と響き、あれまあれまと

この数十年で伸びた枝がバッサバッサと切り捨てる。


昔、どこかの小鳥が甘い木の実を食べ、排泄された種子から伸びた樹は

エノキという名前になって30年だけど、今日で伐採剪定決定の日だ。

たった一粒に大の大人八人が係わる大事業になるなんて、その小鳥は

知っていたんだろうか。知るわきゃないよな。

それにしても今年の電気会社、こういう作業だけは意味もなく素早くて

切り捨てた枝の一本一本きれいに片付け持ち帰った。

その勢いで福島界隈の樹木もやってくれよ!って思う。



写真はこの夏まっさかりのエノキ。成長が早く甘い熟実は小鳥に人気らしい。


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