思いつくまま、気の向くまま
  文は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせいから、われわれ現代日本人みんなへの警告。



直観と判断

「直観はあやまたない、誤るのは判断だ」と言ったのはゲーテらしい。

人は、ある事象に遭遇すると、まず直観してそれをもとに判断をする。

直観が勝るか、判断が勝るかで人生も変わる。

自分のことを思い返すと、70%弱の直観が正しかった。そう書くとバラ色の人生に見え

るかもしれないがそうはいかない。70%の正しい直観を信じないで、そのうちの80%

の判断を誤っているのだ。要は直観に従わずグズグズと考えてしまった結果である。


この、直観と判断について、それぞれの「直観」あるいは「判断」を知りたい人達がいる。

徹底的に原発事故の判断を誤った、管首相と東電幹部の「直観」。

原発事故を知った、半径100km以内に住む人の「直観」。

原発事故の報道に接した人の「判断」。

逃げる時間があったのに津波の犠牲になった人の「判断」。

職務や善意のために尊い犠牲となった警察官、消防団その他責務についていた人の「直観」。

こう書きだすときりがないので、あとは読者におまかせをする。


「直観と判断」ですばらしい行動をした子供達がいる。

釜石市の釜石中学校の生徒たちである。地震発生と同時に停電のため教師の指示が聞こえ

ないなか、普通の地震ではないと直観して自主的に避難行動に移った。それを見た隣接の

小学生が避難していた学校の3階から直観で飛び出して中学生の後につづいた。指定され

ていた一時避難所に着いた中学生は、そこも危険と判断してそのとき合流した保育園児や

小学低学年の生徒を助けながらより高い所に避難して小中学生570名が助かった。

本来、大人が持っていなければならない「直観と判断」を子供が発揮した。これを美談に

してしまってはいけない。

謀略とも言える政府発表をそのまま垂れ流す報道にふりまわされて、買いしめに走り、風

評被害を起こし、計画停電に順々としたがう平和ボケした国民に、有事の際の「直観と判

断」を磨き直す時がきたのではないか。


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