●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの新シリーズ、今回は大阪弁の楽しさ。



会話シリーズ

大阪もん

「儲かりまっか」

「へえ、ぼちぼちでんな」

これは大阪の人の会話として、昔、日本といえばフジヤマ・ゲイシャといわれたく

らい定番のイメージポイントである。

東京もんはすれ違いの立ち話に他人の懐具合など詮索するのは失礼極まると思ってしまう

のだが、さにあらず、この挨拶はそんな深刻なものではないらしい。

「お元気ですか?」

「ええ、なんとか」

そんなニュアンスなのだ。

大阪の人といえば、おしゃべりでノリがよく、ちょっと厚かましくてお金に細かく、そろ

ばん高く、阪神ファンでたこ焼き好き、といったステレオタイプを描いてしまう。

つまり、明るく元気で「どっこい、生きてるでえ!」「儲けまっせ!」といった人たちが

多いと思い込んでいた・・・ところが・・・

新聞を読んで「へえ~」と思った。

それは法政大大学院が発表した、47都道府県の「幸せ度」が1位は福井で最下位は大阪、

という記事である。

1位が福井県なのはともかくとして、なんで最下位が大阪やねん!と思わず大阪弁でツッ

コミを入れてしまう。

生活保護自給者の多さや治安の悪さが影響したらしいが、いまどきの会話は

「儲かりまっか」

「あきまへんな。さっぱりですわ。あんさんはどうだす」

「わしらとこもヒイヒイ言うとりまんのんや」

としょぼくれているのだろうか。

そして、折しも大阪は知事と市長のダブル選の戦い真っ最中。

市長選は大阪都構想をぶちあげた橋本氏と反対派の平松氏の一騎打ちだとか。

「なんや橋本はんは頼りになりそうでごっつうカッコええなあ」

「いや、あの人は危ないでえ。競争社会を目指してるんや。大阪に独裁は似合わへんて」

そんな会話がされているかもしれない。果たして大阪もんはどんな選択をするのだろうか。

みんな見てはるでえ。


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