思いつくまま、気の向くまま 文は上一朝(しゃんかずとも)
シャンせんせいのガンリキエッセー。
シャンせんせい、「あなたまかせ」に品位はない、と言ってます。
嬉しさも中くらいなりノーベル賞
一昨年につづき二人の日本人のノーベル賞受賞に日本中が上を下への大騒ぎ。
TVのインタビューにも異口同音に「よかった」「日本人の誇りです」と高揚した口調で答えている。
これだけ見ていると日本人のすべてが心底から喜んでいるようにみえる。
もっとも「ノーベル賞ってなんですか」とか「それってすごいことですか」と答えた人は放映しない
だろうから…。
ノーベル賞のすごいところは、喜び讃えた人々がその業績をまったく理解できないくせに、とにかく
凄い賞なのだと、心豊かにうれしくなることだ。
喜びのうずのなかでのTV報道は、お粗末の一語につきた。
某ニュースショーでのこと。北大の鈴木氏と生中継をしながら、「先生の研究はこれでよろしいので
しょうか」と構造式を書いたスケッチを見せると「間違ってます。それができたらそれこそノーベル
賞です」と答え、「さっきTV局の人に渡したはずだが…」と一瞬不快な顔をみせた。心血そそいだ
研究をこんなかたちで紹介されたらどんな気持になるか。
いまどき写メールひとつで原図を局に送ればなんでもないことなのに。
また、NHKはじめ多くの局が根岸英一氏の名前の字を間違えて伝えた。そのいいわけは、「ノーベ
ル賞事務局の発表をそのまま伝えました」であった。
ノーベル賞の候補者は事前にわかっている。真剣な報道を心掛ければこんな失礼なことは起きない。
この二つのことをみても、日本のマスコミがノーベル賞受賞をただのお祭り騒ぎとしか見ていないこ
とがよくわかる。
ノーベル平和賞は、中国の民主活動家に授与された。
これに困った中国政府は「彼は中国の法で裁かれ、現在服役中の罪人である。彼のような者に平和賞
を与えることは、賞を冒涜する」となかなかうまいことを言った。
かたや、菅首相の理工系大学卒と思えない格調とは程遠い談話を聞くと、さすが「なぜ2番では…」
の民主党、「円は上がるが品位は下がる…」と、ボヤキたくもなってくる。