サニーイズム             文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だより。
今回のサニーは、自然の中の音を、文字で再現してます。



2010年 春

真夏日のような連休がやっと終わってひと呼吸の週末に

前から気になっていた生録音に出かけてみた。

生を撮る 生を採る 生を録る 生って響きだけでも

グッとくるっ。

で、なにを録るのか今日。

草木も香る五月、家からひとっ走りの距離の渡良瀬遊水地で

草のざわめき ザワワ ザワワと野鳥の声を録ってみた。

今時なら、手の平ん中に納まるような高機能なデジタルカメラで

映像でも音声でも録れるだろうに、なぜか絵のない音声だけの

デジタルレコーダーで録るってのがいいんだ。

SONY PCM−D50 すでに何度もスタジオや

ライブのどでかい音源は録っているけど、静けさの中では

どんなんふうに感じるんだろう。


内蔵装備されているマイクロフォンがすこぶる風に反応が

良すぎるけど、十分にノイズもなしに野鳥さんたちの会話が

届く。(外部マイクも風圧ネットも持参せずだから、もろに

風の影響が・・・とほほです)

堤防の上から。堤防の下。川の淵から。場所を変えながら

録ってみたのを夜になって聴いてみた。

映像がないのになんだこの臨場感。

驚いて沼の淵から飛び立ったカモの羽ばたき、シギ、ヨシキリ

カッコウーもいる。遠くにヒバリが鳴いている。

渡良瀬遊水地の中ほどに行けばほぼ人工的な音が聞こえない

凄さを思う。


ギシギシ   ギシギシ   クウァ  クウァ

ピーヒャ   ピヒャ    コッ  コッ

カッコー   カッコー    キッ  キッ

クァ    クァ    クァ  

ピッ    ピッ    クァ    クァ


おおよそ一辺が6kmの縦横の湿地帯にいるのは、二百数十種の

彼らと平日をどうにか過ごすボクのようなものだけ。


世間は眼鏡をかけて3Dだなんだと騒いでるのもなんだけど

忘れちゃいけないのは、感動はもっと単純なところにあるんじゃ

ないかと思えるんだけどなあ・・・・

なんだか最近、便利なものを2〜3省いてみると本当なものが

見えてくるような気がする。



  写真 いつもの犬も走りまわったせいで、彼の鼻息も
     ハーッ ハーッと生々しく録音されていた。


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