●連載
がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

賢人たえちゃん「我慢の後のしあわせの大きさ」を知ってるようだす。



やっと、やっと巡って手に入れること

休日のある日、売り出しのチラシが入っていた。

お買い得品のチラシ好きな主人がずーっと見ていて、「コレいいかもなぁ。」と言うので、

わたしもチラシを見せてもらった。

あぁ、在庫一掃セールとリサイクル販売(また!)ねー。。。

「行ってみてもいいよ。」と私が言い、それを見ていた母も「私のバッグ、今度旅行に行く

からさ、いいのがあったら買ってきて。軽いヤツ。」と言ったので、満場一致で午前中から

出掛けた。


車で小1時間ほどかけて、バーゲン会場に着いた。チラシのお陰か道も混んでいて、駐車場

も満杯だった。それでもラッキーなことに、ちゃんと車を停められたので、ゆっくり見るこ

とが出来た。

だいたいそういうところで売っているものは、お買い得品なことに間違いは無いのだが、洋

服などは「ジジイ向き」か「ババア向き」が多い。私たちはそういうものには目もくれない

で、さっと一周し、そして「では、解散。」ということで、それぞれ自分の興味のある売り

場へ散らばるのだ。その方が興味の無い買い物に付き合わされて、時間を無駄にすることが

無い。それで、それぞれ欲しいものがある場合は、二人で見に行って、検討と協議を重ねた

上で購入に至る。

夫は時計が欲しいというので、ぐるぐるぐるぐる、時計売り場を何周もして見た。夫の買い

物はとにかく時間がかかる。以前、1本10円の「うまい棒」というお菓子を買うときに、

「何味にしようかな。」と、売り場で30分かかった男なのだ。千円単位、万円単位なら、

どれくらいかかってしまうだろう。実際、時計は3〜4年越しで探していた。

二人で見ているうちに、私も買っても良いな、というものが見つかったので、二人でそれぞ

れの品定めと検討と協議を重ねた。


私が買いたいと思ったのは、20年近く前、バブル真っ盛りの東京で、貧しさと隣りあわせ

だった頃、私の周りの友達がみんな持っていた「時計」なのだ。当時で20万円くらいだっ

ただろうか。それが今、20年の時を経て、リサイクル品として、ヒトケタ台で目の前にあ

るのだ。

「これは買っても良いんじゃないだろうか。」と夫に事情を説明し、ショーケースを覗き、

同じものを狙うババアどもを阻止しつつ、めでたく購入に至った。夫も遂に自分が気に入っ

た時計を購入した。


そして私たちは、おそろいではない時計をそれぞれ腕にはめ、会場を後にした。


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