サニーイズム             文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だより。
好きになったら徹底してやり尽くすサニーの姿勢は子供の時から同じです。



「 ま あ る い 音 」

正月をはさんだこの数週間なんやかんやと合間にCDを焼いている。アナログ音源を

保存する ためにデジタル変換しCD化するというわけ。それもなんとも笑うであろう

オープンリールテープで録音したものをだ。すさまじく35年近くも前の音源 を今だ

保存していたのだから、それだけでも自分なりにも凄いと言うかアホと言うか(笑)

その頃の音楽や仲間バンドのライブを生録音したもの。すさまじく重いテープデッキを

現場に持ち込み、簡易的にステレオ録音したものや、きちんとミキシングし入力した

ものもある。どうであれアマチュアのバンドが頑張ってライブしたものをアマチュアが

録音した音を、数十年隔てた今デジタルでCDに焼いている。


当時も今もお金にゃ縁がないのは同じ、それにしてもその頃に録音機器を買うには

大変だったろうに買っていたんだね。それもオートリバース方式とかでテープに

アルミ箔みたいなモノを張り付けると、それを磁気ヘッドが感知し、反対向きに回り

出す!って画期的な広告に踊らされ買った機種も記憶。なんやかんやで 我が家に

現存してるのはTEAC社製の4チャンネルデッキにテープの先端を空リールにからませ

予備分を送ると、やっと録音分が出てくる。なんとも億劫だろうに、その数秒がけっこう

ウキウキするもんなんです。

序々に指先が操作キーのコントロールを思い出し始め、ス〜ッと廻りだしたり戻したり

自在になりだすのが嬉し懐かしい。そして思うこと、日本製品の質の確かさ頑丈さ

に感心する。なにもこの機種だけではなくて、同じようにカセットデッキもTEAC社の

初期型じゃないだろうか、マイクとライン入力を備えた型も所有しているんだけど、これも

壊れないでバシバシ動くんだから、偶然ではなくて当時の仕事の確かさなんだろうと思う。

ま、こんなに壊れないモノを作っていたんでは、ある意味企業マンとしてはふさわしくない

んだろうけどね。





それにしてもこんな思いをもはや誰に言うつもりもなかったんだけど, 偶然にも今楽しんでいる

バンドのベースマンのI氏が突然遊びに立ち寄った。 で、ついでにその音源を聞きながら一服。

「いいじゃん!いいじゃん!いいっすよ! 温かいっすよ音が・・・・」と

とても彼の世代(30歳代)にゃ敬遠されると思っていたのに、まったく逆で えらく歓迎されてしまった。

性能がよくなり過ぎ、可聴範囲を超えるまでのデジタル音がシャカシャカと鳴り響く今に

比べ、なんともどんよりと聴こえるデシベルの範囲の狭さが、逆に聞く側に優位さを持たせ

るんだろうか。自分では慣れっこになっていたその音源を、彼はどっぷりツボにはまったらしく

おかげで彼の分もCDを焼くことになった。

そういえば昨年に出たBEATLESのデジタル・リマスター盤が反響を呼んだけれど、確かに聴き

慣れていたそれまでの音源に比べ、聴こえていなかったハイハットの高域とかが蘇ってきてるのは

嬉しい。でもモノラル盤の圧倒的存在感がいいとも言われている。

物理的なモノも大切だけれど、忘れちゃいけない音を楽しむって心。そんなんをふと感じてます。



■ 土間の机の隅に鎮座するテープデッキ。無事録音出来て
  いるか一応確認しながら、横でお仕事の図。


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