8/2のねこさん 文は田島薫
えりまきねこリターンズ
先週、昼過ぎに事務所に戻り床の先にあるガラス戸を開けて網戸にしようとしたら、外の
すぐ足下に首にらっぱをつけたうまちゃんがいて、物音に気づいてふり返ったのと目が合
った。ちょっとびっくりした顔をした後、ささっ、と私から見えない方へ逃げた。
こないだも、こないだ、つっても、もう1年以上前だけど、顔にケガして足でひっかかな
いようにらっぱつけられてたばかりだから、弱いくせに他のねこさんにすぐけんかふっか
けてはやられちゃうよーなことがやっぱり多いようだ。
人間のおかーさんは、ぼくの顔にかさぶたできると、やめてくれ、っつってんのにすぐ首
にらっぱかぶせちゃうんだよな〜。そ〜ゆ〜時は、みんなに見られるとかっくわりーから
家ん中でじっとしてんだけど、外がしんとしてる時なんかは、ささっ、ってほらここの草
地のようなとこに走り込んで、かくれてるんだ。ほらここの馬小屋みたいなわきの、伸び
た草の陰は、しっこするのにもくつろぐのにも、けっこう涼しくていいんだよな〜。ここ
ならだれからも見られないし、ぼくの秘密の隠れ家、って感じかな、っていってると、な
んだなんだ、後ろで立て付けのわるい戸を開けるような音がすんぞ、ありゃ、だれにも見
られないどこじゃない、なんてこったい、となりのあの人の顔がこんなに近くでぼくを見
てるじゃんか、あれ?そーすっと、この馬小屋はとなりの家、っつーことになんのか、そ
〜だったのか、気づかなかった、って感心してる場合じゃない、らっぱつけてるぼくが、
あんまり見られないうちに逃げて、今のはなんだったんだ、あれ?幻だったのかな?、っ
て思ってもらえるよーにしよう。ささっ、ありゃ、らっぱがじゃまで、あまりすばやくい
かなかったけど、あなたが見たのは幻、幻ですよー。