●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさんは、髪についての迷いと確信。



シリーズ あんな話こんな話

ヘアースタイル考

私はここ5年以上ヘアースタイル変えていない。

ボブカットのストレートヘアーである。パーマをかける時間が省け、ただブラシするだ

けの簡単手間要らず。

ここへきてちょっと心境の変化あり。ヘアースタイルを変えてみようかしらん。

髪型を変えるのは一番手っ取り早いイメチェンだもの。

髪型でなりたい自分になる。優雅さを狙おうか、或いは可愛さ、それとも知的に、はた

また野生的に…コロコロ変わる女心。

そのとき、

“何事も迷いがあってはならぬ。人間、なんのために不惑という節目があるのか! 開

き直ったオバサンのショートヘアースタイルを見よ。煩悩を振り切ったあの強さを見習

うべし。迷いのないおんなはヘアスタイルにあらわれる”

と天の声。

髪型変えてきれいになろう、なんて了見、あまい、あまい。

そういわれて思い至るのは、女史と呼ばれる人たちの髪形だ。

評論家桜井良子さんのウエーブの利いた重たげなセミロング。ピアノの中村紘子さんの

「お・お・お!」と人をうならせる圧倒的迫力のパーマヘアー。亡くなったけど女優の

南田洋子さんのシャープなストレートヘアー。長年変えずにいるではないか。

その不変の髪形がその人のトレードマークとなり、見事ひとつのブランドと化している。

そして、迷いのないおんなの究極の姿は、瀬戸内寂聴さんの剃髪なのだ!



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