●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
自由を手に入れるための段取り。
ありがたきかな絵の世界
いよいよアートの秋到来。展覧会も近い。
つらつら考えるに、私はおだてりゃ木に登るブタかニンジンをぶらさげて走る馬の範
疇に入る人種らしい。
目的がないと動かない。ご褒美がないと動かない。根がなまけもので土壇場になるま
で動かない。火事場の馬鹿力を信じて、なんとかやっつけ仕事でごまかす俗な人間な
のである。
絵は自分の表現の発露。これを信念に従って描きたいという動機がしっかりしていな
いでどうする? うまく描こうなんて小手先の絵を描いて何になる? 世間の評価な
んてメじゃない! 絵のできばえは巧拙を超えたところにある。イチロー選手を見よ。
マイペースを守って普段からコツコツと努力として初めて9年間200本安打という
偉業を成し遂げたではないか。結果は後からついてくる。まず描いて描いて描きまく
るのだ。
と、威勢の好いことを頭で考えながら、自分で叱咤激励しながら秋の展覧会に向けて
日々絵ばかり描いている。
お陰さまでそのときは至福のときで、絵を描いている間、
“今は何もいらない時間と絵の具さえあれば”
の心境で没頭していられる。