●連載
がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

森の中歩いたたえちゃん、いつのまにか心満たされたようだす。



森の中

用事があって、とある場所へ向かった。

そこはたまに来たりするんだけど、その日はイベントがあるらしく、いつになく混んでいた。

駐車場の混雑を避けるため、建物とは少し離れた駐車場に車を停めて、歩いて目的の建物に

歩いていった。

そこは不思議なところで、山って言うか、丘って言うか、一面がそんな場所なんである。道

が分からなかったけど、だいたいこんな方向だろう、と山道を歩いた。細い、歩く道にはウ

ッドチップが敷かれてあり、人が歩くのだと分かりやすい。自然の空気をいっぱいに吸いな

がら、歩いた。天気も暑くなく寒くなく、ちょうど良かった。人間って、昔からこういうと

ころで暮らしてきたんだろうな。私も雪さえ降らなければ、森の中で暮らしても楽しいだろ

うな、ってたまに考える。

途中つり橋もあって、おー、と思いながら歩いた。小さい頃、どこかの観光地でもこんなつ

り橋があったなぁ、と懐かしく思った。けっこう頑丈に造られていた。揺れてないように感

じたけど、少し揺れていた。まぁ、私の体重には関連性が無いのだが。


目的の建物に着いた。

時間より少し早めだったので、すこし周囲を散策して、大自然の空気をいっぱいに吸いなが

ら、タバコも吸った。

近くに子供を遊ばせている家族がいた。ふと旦那さんを見たら、高校の後輩によく似ていた。

でも奥さんも一緒だし、あまりジロジロ見るのも失礼だ。だいたい男性というものは、結婚

するとたちまち太る人がいる。そして年とともにハゲる人もいる。だから、声をかけるなら

ば慎重にしたいというのが、私の考え。

だから、声はかけなかった。連絡を取ろうと思えば友達づてで取れるし。


そして、用事を済ませて、また駐車場まで戻った。

ボサッと景色に感動しながら歩いていたので、道をしっかりと覚えていないことに気がつい

た。まるでヘンゼルとグレーテルみたいだ、と思った。彼らは子供だし、豆をまいて、そし

て道に迷った。私は大人で手ぶらだ。迷うわけにはいかない。

遠回りしてもいいから、駐車場に着けばいいやと思いながら歩いていたら、本当に少し遠回

りして、無事に駐車場に着いた。


夕方早めに帰宅したら、夫が友達を招いて飲み会をおっ始めていた。

私は最近、酒を飲まない楽しさを覚えたので、顔を出すくらいにしておいて、とっととお風

呂に入ってのんびり過ごした。


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