●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
新聞記事から表情を追加の新シリーズ、おばさんでも輝けるんだ。
独白シリーズ
神様からの賜物
あの歌唱コンテストを思い出すと今でもドキドキするわ。
念願のステージに立ったとき、足が震えそうだった。審査員はいじわるな質問をしてき
たけどなるべく堂々とふるまって、あとは精一杯歌ったわ。
初めのフレーズを歌うと審査員の様子がみるみる変わっていって…そして観客の間にも
どよめきが…そのうち皆総立ちになってたくさんの賛辞と拍手の嵐!
ああ、私の生涯で最良の日だった…
以来、ユーチューブというネットに、「スーザン・ボイル」へのアクセスが何千万とあ
ったり、たくさんの取材を受けたりして今では私は一躍世界的人気スター。
世の中、本当にこんなことってあるのね。
今までにもシンデレラストーリーならたくさんあるけど、私の場合、美人でもなく47
歳の田舎のおばさん丸出しのルックスから信じられないような甘い歌声にみんな驚いた
みたい。
これもすべて敬虔なクリスチャンだった母のお陰。いつも私に言っていたわ。
「誰しも必ず何かすぐれた賜物を神様から授かっているのです。例えば、預言する能力
を授かっていれば信仰に応じて預言を。奉仕の能力であれば奉仕をし、教える能力であ
れば教えを、お金があれば人助けのために惜しみなく寄付を。そうして賜った能力を果
たすのがその人の使命なのです。あなたはすばらしい歌の才能を神様から頂いたのだか
ら歌の道をいきなさい」と。
本当にあきらめないで歌っていて良かった!
この成功を2年前に他界した母にみせたかったわ。