思いつくまま、気の向くまま
  文と写真は上一朝(しゃんかずとも)


シャンせんせいの「ぼけのたわごと」、タイトル変えました。
今回のシャンさん、定額給付金の正しい使い方(?)示してます。



「太郎ちゃんに感謝したら」



15年以上愛用したオーディオ機器の音が物足りなくなってきたので、買い換えたいと思っ

ていたところ定額給付金の話がでてきた。これを足せば希望の物が買えるので時節柄値下

がりを待っていた。ところが、最近デジタル機器の値下がりが底を打つ傾向になってきた

ので給付金を手にする前に購入してしまった。

これは最もやってはいけないお金の使い方である。お金というものは手にするまで信用し

てはいけない。先行き金が入るであろうなんて思って使うとひどい目にあう。ローンの焦

げ付きなんかいい例だ。


顛末はともかく、今度の機器は期待どおりいい音を出す。旧機と聞き比べると雲泥の差で

ある。この感激を家人に話すと「太郎ちゃんに感謝したら」とそっけない返事が返ってき

た。もうすこし言いようがあるだろうに、と思うが日頃の会話がこういう言い回しをする

ようにしてしまったので恨むわけにもいかない。

旧機も単独で聞いていれば、まだまだいい音を出すのだが、15年の技術の進歩は侮れない。

機能的にはどこも悪くない旧機をお払い箱にするのは、気がとがめる。働き者の糟糠の妻

に自分の勝手で三行半を突き付ける、とはこういう気分なのだろう。

旧機は、バブルのときに金の心配もせず思いどおりの物を買った。今回は、懐がさびしい

ときに定額給付金という僥倖で買えた。考えてみれば、どちらも自分の努力で買ったわけ

ではない。バブルと不況という人さまが勝手に作ってくれた状況のおかげだ。この二台は、

好況と不況の記念品である。


前々回に、生活に余裕があるのに定額給付金を預金するなんて「さもしい」と書いたら、

ある読者に「さもしいとはなにごとか、人格否定もはなはだしい」と叱られてしまった。

驚異的にアクセス数の少ないココ通なのに、たまたま読んだ人がこういう人とは運が悪い。

定額給付金については、今になってもこだわりのある人が多いようだ。曰く、「元は税金

なのだから、支給と言わずに還付というべきだ」。こういう人は、さんざん文句をいって

いたが、いざ金が出るとなると断るわけにもいかない。そこで照れ隠しにこう言うのだろ

う。

このような手合には簡単な解決法がある。「還付」でなければ気がすまない人は、来る選

挙で自民党に投票しなければよい。支給であれ還付であれ、くれるものは素直に受け取り、

選挙は別物だと考えれば済むことだ。埋蔵金のままで置くよりどれほどいいことか。やは

り「太郎ちゃんに感謝」である。


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