●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
前回でシリーズは終わり、とりあえず身辺雑記。もどきさんからシャンさんに研究依頼が。



連想

いやー、驚きましたねえ。前回のココア通信・上一朝氏の「鏡餅。

鏡餅が包装のビニールを取り除くとミルミルとヒビが入り、湿度があがるとタチマチ

にして元に戻るというのです。念入りにもbeforeとafterの写真が添えられており、見

ているとまるで鏡餅にバリバリとヒビが入る音までが聞こえてくるようでした。


思わずイタイ!そんな感覚が走り、それから衝撃的なある恐怖が私の体にジワジワと

わき起こった。

なぜ私がこれほどまでに恐れおののくのか?

連想したのである。餅→お肌。

バカにしないでほしい。

女は日々小さな煩悩のなかに生きているのだ。

シミ、シワ、タルミ、この言葉を聞いて、眉をひそめない女はいないだろう。もち肌、

玉の肌、雪の肌は永遠の憧れ・・・なんとか白く、弾力があって、きめこまかい肌に

と涙ぐましい努力をして食費を削ってもン十万円のクリームを買うひともいるくらい

なのだ。


この時期戸外へでると、寒い北風にさらされてピリピリと顔がつっぱり、湿度20%

をきる乾燥した空気のなか、ついにお肌にヒビがはいる・・・

そこへ保湿クリームを塗りたくる・・・

ああ、これはまさに鏡餅現象。このぞっとする厳しい現実をシャン氏の文と写真は如

実にさらけだしてくれたのでした。

「現象を観察、疑問を持ち、それを考える」

とシャンさんはノーベル賞をもらう研究者の資質を崇高に語っていますが、それほど

飛躍をしなくてもいいから、初夢にしないでヒビの入らない餅、いや、肌を守る究極

のクリームを発明してくれ、といいたい。今からでも決して遅くはありません。


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