歌い踊る、元気なおばさん。
「ダンシングクイーン」である。
若かりし頃、大親友のミキと二人で大酒飲んで酔っぱらって、そのものすごい勢いでカラ
オケに行って、ミキがテーブルの上に立って踊り歌ったのが「ダンシングクイーン」だっ
た。店員さんが飲み物を運んで来てくれたときの凍り付いた表情。我々、酔っぱらいとは
いえ独身乙女である。いちおうそんな時でも理性のカケラが働く。踊りを止め、それでも
テーブルの上に直立不動で歌い続けるミキを、私は尊敬の眼差しで見上げていた。
アバの「ダンシングクイーン」は、私の大好きな歌になった。
そして夫と一緒に、念願の「マンマ・ミーア!」を観てきた。
もしかして、踊り出したりはしないだろうか、または感動のあまり泣いたりはしないだろ
うか、などと考えてみて、一応ハンカチを膝の上に乗せながら観た。
メリル・ストリープは正真正銘のおばさんである。あんなに楽しく歌って踊るのって、す
ごいと思った。歌も素晴らしかった。007であるはずのピアース・ブロスナン氏も、あ
んなにたっぷり歌うとは思わなかった。また、娘さん役のアマンダ・セイフライドさんの
清々しく健康的な美しさと、歌の上手さはピカイチである。彼女を息子の嫁に連れてきた
ら、反対するおじさんやおばさんはいないだろうと思われるほど。ハマり役だと思った。
最初っから映画のペースで進んでいった。これも、ミュージカル映画だからであろうか。
ギリシャの海の美しさも憧れである。
情操の未発達な夫でさえも「思ったより楽しかった。」と言っていた。
地元新聞の映画評に「中年女性がオーバーオールを着ているのでさえも驚きなのに、あん
なに激しく歌って踊るのにも驚きを隠せない」的なことが書いてあった。確かにそうだっ
た。(ただしここの映画評は、田舎の自己顕示欲の高い人が、わざと独断と偏見を持って
辛口評を書いているように感じて、個人的にはあまり好きではない。)
本物のおばさんたちが、「主婦は自分が元気でいなきゃねー!」と大きな声で楽しそうに
言っているのを聞いて、さもありなんと思った。
元気なおばさんを誰も止められないし、おじさんやおばさんになることもまた、誰も止め
られないことなのだ。 |