●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさんは、身近にあった自然の力に感じ入ってます。
ささやかな発見1
庭に植えた覚えがないのに山もみじがある。
あまり大きくならないように時々切ったりして結構厄介者扱いをしてきた。
それに、秋にはわざわざ高原へ紅葉狩りにいってもみじの赤さに感嘆してきたのに、
我が家のもみじはしみじみ見ることはなかった。
(空気が違うんだからきれいに色づくわけないもんね)
とばかにしていたのだ。
ところが掃除しようと落ち葉を集めたら、なんと真っ赤に色づいてとても美しいで
はないか。
(見なくてごめん。ちゃんと完全燃焼をして役割を果たしたんだね)
もみじにひきかえ不完全燃焼の私はもみじに謝った。
ついでに雑草取りを始める。ヒヨドリの糞に混じった種からナンテン、ツゲ、マン
リョウなどがいつのまにか育っていて、あれっ、と驚く。
そしてまたまたバショウの下に明らかに雑草とは違うものを発見。つややかな濃い
緑の葉をまるで手のひらを広げたように茂らせ、由緒正しき佇まいである。
これは絶対雑草なんかじゃない、いつか立派な花を咲かせるに違いないと抜かない
で残して置くことにする。
そんなこんなでいつのまにか我が家の庭は野性植物の王国と化している。
掃除はきらいだが洗濯は好き、後片付けは苦手だが料理は人並み、というダメ主婦
の私。あまり焦りもせずに過ごしているのは、たぶんこんなささやかな夢というか
期待の発見が生活の充足感につながるからだろう。