●連載
がたやま娘のひとりごと 文はこんのたえこ
地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!
美人たえちゃん、手出さなくても手伝いになってます。
お祭りの準備
地元の八幡神社のお祭りなので、うちの町内では毎年、通りに紅白の幕を飾る。
その手伝い日時の回覧板が回ってきたので、母ちゃんが「どうしよう・・・」とこちらに
話をふってきた。もちろん私は母に「アンタ行きなよ。」と言ったが、あいにくその日は
母が早朝から出かける日だった。そして次に「アンタはどうなの?」と夫に話をふったら、
即「いやだ。」と返ってきた。そりゃそうだ。朝の6時からのお手伝いだ。「顔出さない
わけにもいかないからねぇ・・・」っていうので、私が手伝いに出ることに決めた。
そして、その日の朝はちゃんと早く起きることができた。
「おはようございま〜す!」って表に出たら、近所のおんちゃんたちもちょうど作業を始
めるところだった。私は初めての手伝いなので、何をしたら良いのか分からない。とりあ
えず「手伝います」って言ったら、ひとりのおんちゃんが「大丈夫だ、立ってるだけでい
いから。」って笑いながら言ってくれた。そうなのだ。こういう手伝いは、ほとんどおん
ちゃんたちで、女の人はいない。
うちの通りはまず人の出入りが無く、何十年もそこに住んでいる人ばかりだ。したがって、
おんちゃんたちも子供の頃からずーっと一緒で、みな同じようにオジサンになっている。
「誰々さんのお宅」ではなく「○○ちゃん(おんちゃんたちの名前)ち」でみんな話が通
じる。お互い様のことで、手伝いに来ないからといって、一方的に立腹する面倒なジジイ
などいないのがとてもありがたい。
子供の頃、木登りが上手だったんであろうおんちゃんは、電柱に登ってロープで幕を吊る
係り。雑貨屋のおんちゃんは、道具を持ってこまごまと動き回ってくれるし、自動車修理
工場のおんちゃんと肥料屋のおんちゃんは、もくもくと幕を取り付けていた。風呂桶屋の
おんちゃんは仲良しの雑貨屋のおんちゃんをいじって楽しくしていた。うちの祖父に代わ
って長老になったじいちゃんたち二人は、総監督と進行係をつとめていた。
私は言葉どおりほぼ立っているだけで、隣の家のでっかい犬をナデナデしたりしながら、
町内の行事に参加させてもらった。