ぼけのたわごと             文は上一朝(しゃんかずとも)


大変お待たせいたしました。
大好評だった酩酊放談のシャンせんせい、装い新たに復活しました。
今回のシャンさん、珍しく感傷的になっております。ちなみにシャンさんはプロ写真家でもあります。



さわさわと            

株は暴落、証券債券は紙屑と化した時、80円のサンマ一本買うのに迷っていたころの

ほうがどんなに幸せであったか。こんな思いをしている人がどのくらいいるのだろう。

そんなことを考えながら歩いていると、ふと、自分のことに思いいたった。

80円のサンマに迷うこともなく金融恐慌にも縁がない。のほほんと幸せのはずなのに

どこか気が晴れない。

その源は、友人や友人の身内の病にあった。いずれもが、一月経てば、一年経てば完治

するというものでなく、いわば加齢によるものだ。明日はわが身と思うより、その積年

の友垣の心内を思うと気が重い。そのとき、尾形大人の歌を風が運んできた。


野面ゆく 風のささやきさわさわと サワサワサワと野面ゆくなり


この世にあるかぎり風を避けるわけにはいかない。烈風も心地よい風も。順風も逆風も。

すべての風がこの歌のように、さわさわ サワサワ と身を包んでくれたら…と



散歩の写真「さわさわと」。 尾形さん、勝手に歌をつかってごめんなさい。


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