5/12のしゅちょう             文は田島薫

(気の利いた言葉のカンチガイについて)

だれでも、日常生活の中で、たまには気の利いたセリフのひとつも言って、お、あいつ

なかなかいいセンスしてるな〜、などと思われたい、って気持はあるんじゃないか、っ

て思うし、私だってそうなんだから、あまり人を批判できるもんじゃないんだけど、自

分のことより人のことはよく見えるわけだから、人の振り見ての教訓、ってことで。


先日中国の胡錦涛主席が来日して福田首相と歓迎のための福原愛ちゃんの卓球の実演を

見てて、自分も卓球をやると言って服を脱ぎ、愛ちゃん相手に大変な上手さで、正確な

スマッシュを連発して見せた。

それを見た後、福田さん、胡錦涛さんと卓球しなくてよかった、胡錦涛さん、非常に戦

略的な卓球だから、って言った。

こう言った福田さん、われながら気の利いたことを言えたな〜、って表情でとても満足

そう、主席を含めた周囲の人々がなんとなく居心地悪そうにしてたのに気がつきもしな

いようだった。

だれが見ても、瞬発力で決まる卓球で主席の卓球が、戦略を考えてやってる、ってこと

より、単純に「卓球が上手い」ってことで、その俊敏さを持った身体能力をほめるべき

だったんで、それを抜きにしたら、福田さん、自分が主席に負ける理由はその身体能力

のせいではない、戦略についてだけだ、って言ってることになるわけで、ゴマカシがあ

る、って多分みんなに怪しまれてしまったのだ。


政治家や学者や法律家など、自分は頭がいいって自負してる人間ほど、そういったカン

チガイに気がつかない例が多いようで、そのプライドのせいで、話題の本質や目的を忘

れて、自分の発言の有効性のみに関心が向く本末転倒もよく見かける。

私って、なかなかうまいこと言うな〜、って自分で感心する時ほど気をつけたいもんだ。




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