●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの快調シリーズ18回めです。
シリーズ 世にも短い物語
モテない男
女ゴコロがわからぬ男である。当然モテない男である。
幼い頃は姉と妹の間に挟まれたサンドイッチのハムのような存在であった。父が早く
亡くなり、母、姉妹に囲まれた女世帯の唯一の男。ならば女について熟知しているじ
ゃないか、というのは素人の考えである。
姉妹の結託、ままごと遊びの相手、気まぐれなやさしさ、母への告げ口、陰湿なケン
カ、などの洗礼を受けてすっかり男として女への新鮮な感覚を失ってしまった。
なまじっか女の中で暮らしたために、女とはこんなもんだとタカをくくると、大きな
しっぺ返しをくう。社会にでて現実は厳しく中途半端な自覚などなんの役にもたたな
いのだ。
最初に女がわからんと思ったのは、高校生の時だった。男女5人で山登りをしたとき、
1人の女性がすっかりバテてしまい、男2人が荷物を持ってあげたり、励ましたり、
何かと面倒を見てあげたら他の女性2人がすっかりムクれてしまった。場合が場合だ
けに当然と思うのだが、女の扱いは難しいとつくづく思った。
ところで、モテる男の条件は「三高」だといわれたのはバブルの頃だっただろうか。
収入、学歴、身長がそろって高い男性を理想とする造語であった。いま若い女性が結
婚相手に求めるのは「三低」だという。それは低姿勢、低依存、低リスクを指す。つ
まり、女性に威張らず、家事は自分でこなし、安定した職業(収入)を持つことを意
味するのだ。
ああ、そんな三低男をキープするには考えただけで神経がくたびれる。当分モテない
男路線でいくしかない。