●連載
がたやま娘のひとりごと 文はこんのたえこ
地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!
わたる、たえちゃんのひもつきでがぜん強気だす。
初のケンカは、猫。
夕方、愛犬わたるのお散歩に行く。
いつも近くの八幡神社に散歩&参拝に行くので、そのあたりでよく会うワンコの名
前を覚えたり、遊んでいる子供たちもわたるに寄って来るので、顔なじみになった
りしている。
最近そこに、なんだかおひとりさまで見かけるようになった猫がいる。
顔なじみの子供が、「あの猫、凶暴なんだよ。ハト捕まえて食べちゃったり、ネズ
ミ食べちゃったりしてるの。見る?」と言い、わざわざ見せてくれたりもした。私
もいまだ子供感覚が抜けないので、一緒になって話していた。
ある日、いつものように散歩をしていると、バッタリその猫と会った。その周りに
は、いつもの子供たちもいた。
「気をつけてね、凶暴なんだからね。ケンカしちゃうかな。」と子供たちは口々に
言った。しかし、相手はやんちゃさでは負けてはいないはずのわたるだし、以前も
何度もすれ違ったことがあったので「だいじょぶだいじょぶ。犬なんだから。」と
私が言いながら、トコトコとその猫に2,3歩近づいたら、「ンニャーアアア!」
と叫んでシッポをピンと立てて思いっきりかかってきた。わたるも負けてはいない。
「ガウウ!」と言いながらその猫めがけて走っていった。
子供たちも「うわー!」ってびっくりしていたが、一番びっくりしたのは、この私
である。大体、猫って犬が来ると走って逃げてしまうものだと思っていたのに、こ
の展開だ。犬と猫はお互いに「フンガー!」とか何かを叫びながら取っ組み合った。
「わたるのお散歩ヒモを持っている私までケンカに巻き込まれてはいけない、半ズ
ボンをはいているのだ」と思い「わたる!もういいから!もういいってばぁ!」と
私まで叫びながらわたるを引き離した。
「あ!血が出てるかもよ!」とケンカの一部始終を見ていた子供が言った。何だか
わたるの口元に赤いものが付着していた。「猫のツメで口元引っ掻かれたのかもね
〜」って同じくその場にいたガマガエルみたいなおばちゃんが言った。「犬は少し
くらい引っ掻かれても大丈夫だから、心配いらないよ。」って言ってくれた。
「いや〜あんな猫、初めて見たわ〜、びっくりしたー」ってそのガマガエルおばち
ゃんに言ったら、その猫は春先あたりに生まれたノラで、兄弟もいて、その神社に
一緒に住み着いているらしい、って教えてくれた。さすがは物知りのガマガエルお
ばちゃんである。「ノラだから、しょうがないよね。」ってまとめてくれた。
今日はすげー経験したなぁ、と、まるで童話みたいなある日のお散歩でした。