●連載
がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

大人のたえちゃん、この世を去る人ときちんと向き合ってます。



誰の身にも起こること

このところ、身内の危篤状態が続いています。

ひとりは、うちの祖父。

実は、昨年秋ごろから体調が整わないことが多くなり、入退院を繰り返し、寝たきりに

なっています。今年で101歳のため、いたしかたありません。よくここまで丈夫で長生

きしてくれたと本当に感謝しています。

今月初めに入院し、中旬ごろお医者様に余命を告げられました。そうしたら「それっ!」

とばかりに家の片づけをはじめ、この週末でほぼ片付きました。物持ちの良い母とかな

りぶつかりましたが、祖父に付き添っている間に掃除をするのは私なので、鬼の居ぬ間

にやっつけました。博識な祖父なので、貴重な本や物がありますが、ひとつひとつが生

きた軌跡として、ありがたいものです。片付けていたら、思わぬところから亡き父の元

気な頃のおバカな写真なども出てきて「やっぱりバカだったんだなぁ。」と思いました。

もうひとりは、夫の叔父。

まだ60歳くらいですが、2年ほど前に大腸ガンと診断されました。体力もあったので手

術をして、治療を続けながら仕事もしていました。そして、今年の春に初孫が生まれま

した。そうしたらほどなく体調が崩れて、入院の日数が多くなりました。私たちも何度

かお見舞いに行きました。ホスピス病棟に移り、余命数日と告げられたその日、家族総

出で叔父さんの家の掃除をしました。

年をとった人の葬式の準備をするのは「ああそうか、仕方がないことかもしれないなぁ

…」と思うのですが、まだこの世から居なくなるのが早いであろう人の葬式の準備をす

ることは、どうなのかなぁ、と思います。ただ、高齢だったり病気だったり、というこ

とが、気持ちの整理の時間を与えてくれたり、大切な家族との時間に意識を向けること

だったり、自分なりに考える時間を与えてもらっているのかなぁ、とも思ったりしてい

ます。


こちらの世界を卒業して、あちらの世界へ旅立つ人がいます。誰の身にも起こることで、

誰もそれから逃れられません。当然のことなんだけれど、本人にも家族にも、とても大

きなことだと思います。

そして、残された私たちは、今ここで何をするんだろう、と思います。


戻る