ぼけのたわごと             文は上一朝(しゃんかずとも)


大変お待たせいたしました。
大好評だった酩酊放談のシャンせんせい、装い新たに復活しました。
シャンさん、出かけるライブハウスに期待満杯し過ぎ、現地で唖然呆然。

爆音また爆音                             

「馬橋のライブハウスですけど…」

ライブハウスと聞いたとたんに、青山、六本木がひらめき、しばらくご無沙汰だな〜と

思う反面、「えっ、馬橋にそんなものあるのかな」と、イヤイヤ通勤の途中駅のうらさ

びしい景色を思い出した。

人は物事を良くも考えるし悪くも考える。この時は良く考えるほうが動きだした。

K市は若者のバンド活動を応援して町おこしのひとつにしている。そのとなり町のこと

だから“ケッコウなライブハウス”があるに違いないと期待がふくらんできた。が、引

っ越したばかりで用事も多く、行けなかった。


「また、馬橋でライブやるんだけど」月山氏から誘いがあった。

知らせてきた場所は車中から見えるところだし、道中の段取りもさっと見当をつけ「あ

っ馬橋ね、行きますよ」、昔風にいえば、ちょいと下駄をつっかけて出かけていく気分

で答えた。もう馬橋なんて怖くもなんともない。時の流れというものは恐ろしいもので

ある。

当日は夕方から雨の予報。これが去年だったら急にお腹が痛くなったかもしれない(笑)。

これも時の流れというものだろう。わきから家人が「なん時頃出かける」と聞いてくる。

ちなみに家人は月山氏に好意的である。月山氏の音楽は聴いたことがないが、際限のな

いマルチな人柄に好意をもっている。

「なん時頃出る」と言われると、去年行かれなかったので“ケッコウなライブハウス”

だったら混むのではないか。どうせ行くのならいい席で聴きたい。な〜に、田舎ライブ

だ、混むわけがない。あれや、これやとよけいな考えが浮かんでくる。

「8時開演だそうだから7時半に着けばいいんじゃない」と答えると、すかさず「夕食

はどうしよう」とおいでなすった。家人は何かイベントが控えているとそれまでは絶対

に家事をやらない人間である。外食にしようなんて言うと「せっかくだから」となにが

「せっかくだから」なのかわからない言葉を連発して豪勢に飲み食いする。今日のサイ

フはこちらでと言った手前があるので「そうだな、行ってもろくな食べ物はないだろう

から家で簡単に食べていく」と宣告した。サイフの特権である。

食事も終わりなんとなく落ち着かずそわそわしていると「そんなに早く行ってもしょう

がないわよ」とすっかりお見通しのことを言う。(これは後で思い知らされることにな

る)そう言われてしまうとこちらも照れくさくなる。雨だからバスは遅れ、今の時間は

電車も待つだろう。と、照れた心に言い聞かせて出かけると、案に相違してすべてがト

ントン拍子にいってアッという間に駅に着いてしまった。もう少し駅から遠ければよか

ったのに、と思いつつ横なぐりの雨にぬれながらライブハウスの階段を上がり、ドアを

開けると…。

そこには!?


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