●連載 がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

たえちゃんとこのわたるが、サンバ犬になった。


サンバわたる。

こちらは大雪です。

そうです、山形です。

こないだ、東京で雪が降ったらしいので、ニヤつきながら友達に「雪降ったんだって?ど

う?」ってメールしたら、ひとりは、「じゃんじゃんばりばりじゃんじゃんばりばり。」

ってやたら古いフレーズで返事が返ってきた。もうひとりは、「転ばないように気をつけ

て歩きます。」という決意が返ってきた。

東京で雪が降ったと思ったら、その後こっちでもその倍以上降った。

ずーっとずーっと、一日中、サラサラサラサラと雪が降り続くのだ。サラサラ雪が一番積

もる。午前中だけ降り続くならまだ良いのだが、午後になってもサラサラ雪が降り続くと、

ちょっとヤバいかも、って思い始めて覚悟するのだ。

そして見事に積もった。スノーシューズより長靴の出番だ。新雪のところ、約ひざ下くら

い。

そしてわたるは夕方日が暮れる頃、お散歩に行きたがる。私は、やれやれと長靴をはいて

お散歩に出かける。そしてヤツは高らかに足を上げ、少しずつレモンシャーベットを作り

ながら進む。

いつもの神社に着いたら、お社の裏は誰も歩いていないらしく、真新しい雪がきれいに積

もっていた。そしてわたるは自分の顔の高さくらいの雪の中をズボズボと進むのだ。とき

おり雪をなめたりしながら。バフバフと跳ねながら。まるで野生のウサギかと思う。でも

いや、そこまで身のこなしが華麗ではないから、役に立たない小さなブルドーザーみたい

な。一応、喜んでいるのか、まあまあ楽しそうである。私も何だか面白くなって、一緒に

走ったりすると、わたるもズボズボと跳ねる。私も足腰の訓練になる。そして、新雪を踏

む一番乗りって、とっても嬉しい気分になるのです。1週くらいしたら、わたるが雪に埋

もれたまま、ピタッと動かなくなった。飽きたのか。まあ、彼にしたら顔ほどある柔らか

いところを跳ねながら進むって、けっこう疲れるものなのだろうな、と思いやってみた。

そしてわたるの足には、しっかりと雪がくっついている。雪まみれになって、何だか袖の

ふくらんだ服を着たサンバ!だかアミーゴ!みたいな陽気なおじさんだ。

うちに帰って、お風呂場のシャワーのお湯をかけて雪を溶かす。けっこうしっかりくっつ

いているので、溶かすのにはコツがいる。(いや、別にいらない)

そうして濡れネズミのようになった犬は、乾かし兼居眠りするコタツの中で、人の足をな

めるのだ。


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