2/12の日記 文は田島薫
あひるの歌が聞こえて来ない
連休の10日は同居人の母親が療養している長野の自宅に見舞いのお伴の約束で、
日記のネタとしてはさほどおもしろくなりそうもなかったんで、ここはひとつ、
前日の9日の土曜日に映画ビデオでも見て済ましちゃおう、って、ここんとこ図
書館で椎名誠本借りてくつろいでることもあり、彼の監督した映画「あひるの歌
が聞こえて来るよ」のビデオも借りて来て、夜、セットして、さて、見っか、っ
てスタートしたら、テープが劣化してるのか2〜3秒ごとに画面が止まっちゃうも
んで、早送りしてみたら、紙芝居のようになんとか筋の流れは分かる。
主人公が、ヒッチハイクで乗った車から落ちた3びきぐらいのあひるのひよこに
ずっとついて来られちゃうんだけど、早送りだから、あひるさんたちは必死な全
速力で追って来る、それ見ながら、こりゃ大変だね〜、ってことで、そうやって
全部早送りで、見たってことにするのもなんだし、見るのを終わりにした。
で、しょうがない、ストックのビデオで見てないのないかな、って探したら、古
いモノクロ・イタリー映画の「自転車泥棒」があったんで見た。
仕事に必要な自転車を盗まれた男が息子とそれを探す、ってだけの筋なんだけど、
追い詰められた貧者の辛さがよく表現された傑作なんだけども、気分は全然盛り
上がらないし、よく考えたらほんの何年か前にも見てるはずなのだった。
翌日、長野に着き前夜降った雪が少し残ってる近所の神社の傍道を歩いていたら、
あら不思議!向こうから椎名誠のあひるの集団がこっちへ突進して来るぞー、と
思ったら、あひるじゃなくて、6〜7羽のハトだった。
なんだなんだなんだ、って言ってるうちに全員足元まで到着して、今度は歩いて
行くわれわれの後について早足で追って来る。
どうも、エサが欲しいんだな、って感じられたんで、神社の入口あたりまで来て
から、持ってたせんべいを細かく割ってまいてやったら、もうこっちには見向き
もしないでエサに集中、みんなで大騒ぎして突いてる。
聞くと同居人の母親がよく来てエサやってたらしいんだけど、療養で何ヶ月も家
から出られてないんで、ハトさんたちずっと待ってるようだ。