●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
シリーズ14回め。もどきさん現場主義のよさカラダで感じました。
シリーズ リポーター奮闘記
現場主義
前回体験リポートのインチキさを書いたが、体験することは悪いことじゃない。すべて
書くことの原点だ。
目で見たもの、耳で聞いたもの、感触、匂い、味。つまりアタマじゃなくてカラダで感
じたこと。これは強い。
神奈川生協、COOPの仕事をしたことがある。
料理記事であったり、○○探訪記であったり、防災特集であったりであったが、その都
度きっちり足を運び、実際に事を行い体験した。
生協というところは主婦が主体になって運営されており、
必ず主婦の組合員が出席する。
例えば、○○探訪記だとすると、何するわけでもないのに大抵5〜6人主婦がぞろぞろ
ついてくる。こちらは仕事だが、あちらは行楽気分で、ワイワイガヤガヤ。ライターの
私とカメラマンにまるで手抜きしたり、嘘を書いたら許さないわよ、と監視されている
ようでプレッシャーに感じたものだった。ところが一緒に歩いていて、その中の一人が
ふとつぶやいた思いもかけない感想が耳に入ったりして「それ、いただき!」と文章に
入れたこともあった。
そのほか料理特集で料理中に鋭い質問や発言があって救われたことが何度かあった。
一人よりも二人、多数のモノの見方、それも主婦の目は侮れない。それもこれもこうし
た実際に体験しているナマの現場だからこそ生まれるのだ。
ドッサリかかえた資料の山よりも、自分に直接刻みこまれたものの方がモノをいうこと
を学んだ。外へ出て実際に現場に立つ、こうすると文章がいきいきと立ち上がって健康
な見方が生まれるものだ。