●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんの新シリーズ2回め。シャレがうまいっ


シリーズ リポーター奮闘記

百円ライター?

私は初めての原稿料をもらって考えた。

プロとアマの違いってなんだろう。

お金になるかならないかがプロとアマの違いならば、昨日まで広告文など書いたことのな

い素人の主婦が翌日名刺持って取材して記事を書きお金をもらえば、プロっていえるのだ

ろうか。そんなら世の中ちょろいもんだ。いやいやそんなに甘くはないぞ。コンスタント

に結果を出さなければ当然仕事はこなくなる。会社も始めはライター・ライターって重宝

がるけど、もしかして私は百円ライター? 百円ライターなら火がつかなければ捨てられ

る運命だ。やっぱり使い捨てにはなりたくない・・・

とりあえず私は先輩の、ライバルの、同業者の、アカの他人の、やり方を見ることから始

めた。クライアントの前でいっぱしの顔してハイハイ、ペコペコ。帰ってコテコテの厚化

粧原稿を提出して叱られ、ヘナヘナ、傷だらけの日々だった。

あるとき、社長に同じ業界の客がきて、挨拶代わりに「誰かコピーライターはいませんか

ね」「いや、こっちこそ教えてほしいですよ」という嫌味な話が聞こえた。(え〜、なん

で〜、たくさんのフリーライターを抱え、新人ライターも入れたばかりなのに〜)と私は

首をかしげる。

あとで気がついたのだが、この「誰かコピーライター」という言葉には、ちゃんとキャッ

チフレーズが書けて文章もうまくクライアントの受けがいい、というレベルではないのだ。

生活情報誌に掲載される広告の業種は多岐にわたる。例えば化粧品、ファッション、エス

テ、料理屋、建築会社、写真屋、不動産屋、カルチャー教室、イベント会社、etc・・・つ

まり、そうした業種にきちんと対応できる人材を求めているのだ。

本物のプロのライターたるもの、世の中の森羅万象諸事万端について学ばなければならぬ。

人生について、男について、女について、物について、心について、文化について、経済

について、スポーツについて、エレクトロニクスについて、ペットについて、ビートたけ

しについて、口紅について・・・

あ〜、もう〜


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