ぼけのたわごと             文は上一朝(しゃんかずとも)


大変お待たせいたしました。
大好評だった酩酊放談のシャンせんせい、装い新たに復活しました。
今回は世界を駆けるホットなニュースのかいせつ


となりのミヨちゃん                             

ぼくの村には、むかしから四年にいちどいっけんの家に村中の人があつまって力ためし

をするお祭りがあります。お祭りはたいそうお金がかかるのです。ぼくの家もようやく

お金がたまり、ことしお祭りをやることになりました。

このお祭りにはおもしろいきまりがあります。わらたばに火をつけて、村のおもだった

家のにわの中をはしったあと、ぼくの家でその火をつかってやきいもをやくのです。

この火がさいしょの家にいくとき、となりのミヨちゃん家のひとたちがぼくの家にむか

って「もう家のことはかまわないで」といいだしました。ぼくはちいさいときからミヨ

ちゃんとは兄妹のようになかよくあそんできたので、きゅうにミヨちゃんがしらんかお

をするのでこまっています。

ミヨちゃん家は、むかしぼくのひいばあちゃんが「おまえの土地はあたしのもんだよ」

といって、ぼくの家の土地にしてしまいました。でもひいばあちゃんは、ミヨちゃん家

の人をじゆうにしておきました。ひいばあちゃんは、すごいろうひかで家がはさんしそ

うになったとき、じいちゃんが生活のやりかたを変えて家をたてなおしました。そのと

きじいちゃんはミヨちゃん家の人たちにも「おらのいうことをきけ」といいだしたので

す。ミヨちゃん家のおじいさんはこのとき、むこうどなりの印さんの家ににげだして、

それから、ぼくの家をわるくいっています。

とうちゃんの代になってから、ミヨちゃん家の土地に小屋をたてたり、はたけを作って

「もっということをきけ」といいだしたので、村のひとたちから「やりすぎだ」という

声があがるようになりました。

このあいだお祭りの火が英だんなの家をはしるとき、ミヨちゃん家にどうじょうする人

たちがお祭りの火をけそうとしました。そのあともあちこちの家でおなじことがおきま

した。とうちゃんはこまっていますが、「印の家にいったミヨのじじいがわるいんだ」

といってミヨちゃん家にやさしくしようとしません。

ぼくは、お祭りがうまくできるかどうか心配です。ミヨちゃんともいままでとおなじに

なかよくあそびたいので、とうちゃんに「ミヨちゃん家にやさしくしてやってよ」とい

ったら、ものすごくおこって「英のだんなも、米のだんなも口ではミヨの家がかわいそ

うだといっているけど、うらではおなじことをやってるんだ」とぼくのいうことをきい

てくれません。このままでは、お祭りのやきいもをおいしくたべられないかもしれませ

ん。

ぼくは、はやくうちのとうちゃんとミヨちゃんのおじいさんがなかなおりをして、また

ミヨちゃんとあそべるようになるといいなと思っています。 おわり


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