10/15のしゅちょう             文は田島薫


(人づき合いの妙について3)

私は人づき合いに関するノウハウ本ってものは、読むことにちょっと抵抗がある

んだけど、それはなんでか、って言うと、そういった学習というもんは自分の日

常的な行動の中でひっかかったり、疑問に思ったりしたことを自分で考えぬくこ

とがベースにないと、表面上わかった気分になるだけで、自分自身の問題意識が

生まれてから知るやり方による心の深い部分での本質的な理解のチャンスを次々

ダメにして行く危険がある気がするのだ。

でも、それを言ったら、このコラムだって、ノウハウ的な意見なわけだから、読

まない方がいい、ってことにもなっちゃうわけで、結局、あまり人の意見をうの

みにすることはやめて、批判的な視点も失わずに読んで欲しい、ってことでいい

のかも知れない。


そういうわけで、前置きが長くなった上、次に言うことの言い訳でもあるんだけ

ど、米国でベストセラーになったらしい、そういった人づきあいノウハウ本を、

先日つい図書館で借りてしまい、読んでみると、特に目新しいことが書かれてる

わけではないのに、次々自分にも思い当たり、すっかり感心させられてしまった

もんで、とても安易なんだけど、ひとつご紹介。


これは私も元から同感のことで、内容に感心したんではなくて、その例えの仕方

がシンプルで感心したのだ。


これはけっこういろんなところで引用されてる話らしいんで知ってる人も多いと

思うんだけど。

ある町によその町から引っ越してきた人が、そこの長老に、「この町の人々はい

い人たちですか?」って聞くと、長老から「あなたが元いた町の人々はどうでし

た」って逆に質問され、「いやな人ばかりの町でしたんで逃げて来ました」、っ

てこたえたら、長老は「この町もきっといやな人が多いですよ」とこたえた。

次に別の人が引っ越して来て、同じよう聞くと、「とてもいい人たちばかりだっ

たんだけど、やむおえない事情で越してきました」って言うと、長老が「この町

の人々もきっといい人が多いですよ」とこたえた。って。




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