●連載 がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

ボヘミアンたえちゃん、今回は大平洋側に出張。


決死の金華山参り

その日の山形は、くもり時々雨でキリがかってもいた。しかし今日行くと決めたら行かね

ばならぬ。何でも「三年続けて金華山にお参りすると、お金が貯まる」というのを姑がど

っかから聞いてきたらしい。じゃ、みんなで行こうか、となったのだ。

おとなり宮城県へ向かった。途中、マリンパル女川というところでウニ丼を食べた。500

円。採れたての殻つきウニを自分でほじくって白飯にかけ、お醤油でいただく。30人くら

い並んでた。海の女らしい威勢のイイおばちゃんが笑顔でお客さんをさばいていた。

さぁ、飯も食ったしこれから船に乗る。乗り物が弱い人にとっては地獄のコースであろう。

船タクシーみたいな小さいボートに乗った。BGMはもちろん演歌。真っ黒に日焼けした、

陽気なおっちゃんが船長さんだ。

カモメにエサをやりながら出航した。子供たちはバカ喜びしていた。しかし、すんごい揺

れる。喜んでいた子供たちもだんだん怖くなってきたらしく、パパママにしがみついてき

た。姑は怖くて笑いが止まらない。「まだ着かねのが。命がけでこんな怖い思いして来る

くらいなら、普段からきっちりお金貯めておいたほうがいがった〜!」と絶叫した。


やっと着いた。天気も悪かったので、所要時間20分くらいだっただろうか。船長のおっ

ちゃんはニコニコしてケロッとしていた。帰りも迎えに来てもらう。

島の丘の上に神社がある。みんなで歩いて登った。ムシムシしている上にゲロゲロだ。チ

ョイ太り子供の姪っ子はもうグズっていた。

森林に囲まれた神社はひんやりとしていた。鹿もいた。参拝しておみくじをひいた。私た

ち夫婦は金ぴかの大黒様とえびす様を買った。30分も居なかったんじゃないかなー。ま

たおっちゃんの待つ港へ戻ってきた。

今度は、おっちゃんが操縦してる隣で立ってみた。波に乗っている気分満喫。思いっきり

揺れるので、スリル満点。「タイタニックのあのシーンとこが一番揺れるんだ。あはは。」

って教えてくれた。後ろの方ではまた家族がゲロゲロしていた。おっちゃんは潮の流れと

かうねりとは何ぞやとか、いろいろ教えてくれた。さすがである。今さらながら、信頼で

きる海の男だと思った。揺れなくなった頃、もう陸に着いてしまった。


お土産物屋さんでソフトクリームを食べた。少し休んでから帰路についた。

途中、夫が疲れのあまり、一瞬だけ路肩に寄りそうになった。あとから聞いたら、それ一

瞬だけじゃなくて、何回もプチ瞑想していたらしい。みんな生きてて良かった。


こういう思いであと二年も続けるのか、家族で話し合いをせねばと思っている。


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