●連載 がたやま娘のひとりごと 文はこんのたえこ
地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!
たえちゃん、海外ひとり旅行行って来ただす。みやげ話その4。
コップンカ旅 4
とにかく、この滞在で出会う人すべて親切だった。
遊び人かと思われるビーチボーイズでさえ、私がひとりで日本から来たことを知ると
「大丈夫?」と気を使って、いろんな話をしてくれた。津波で大変な思いをしたこと、
津波の後仕事がなくなってオーストラリアに出稼ぎに出たこと、日本の女の子は楽し
そうで幸せそうでイイなぁ、写真撮る時の、なにアレ「ピース!」ってカワイイよな
ぁ、とか。(私は正直に年齢を話したので、ナンパの対象外らしかった)
大阪からいらした、素敵なご家族。ご夫婦と兄妹がとても仲良しで、笑いがたえなか
った。私も何十年かあとに、こんな温かい家庭がお手本だなあ、って思った。マレー
シアから来た子と仲良くなった。「今度の休みはいつ?マレーシアにおいで!」って
住所を教えてもらった。日本のことを良く知っていて、いろいろ質問された。私はマ
レーシアについて何も知らなかったので、勉強不足を痛感した。
タイ料理の先生も、ハーブ園のおじさんも、ルーシーダットンの先生も、スクールの
スタッフの若い子たちも、みんなみんな親切だった。いつもひとりで行動していたの
で、ちょっとした親切が身に染みたのかもしれない。
そんなこんなで良い思い出をたくさん抱えた私に2週間は過ぎ、帰路についた。
帰国途中のバンコク乗り継ぎで「先が尖っている」とバッグに入っていたツメやすり
がセキュリテイーで引っかかり、スカした空港職員の女に没収された。仕方ない、や
れやれ。と、おトイレに入ったら、どういうワケかパンツを変な風にはいていたのに
気づいて自分に驚いた。そしてまた、やれやれ。と、いよいよ成田に向かう飛行機の
席に着いたら、歓楽街を仕事場にしているような男性と、外人バーのママみたいなカ
ップルが隣だった。私は窓側だったので、ゲゲ!やたら気を使っちゃうじゃん!とも
のすごい緊張をした。ツメやすりは没収され、トイレでは衝撃の事実を目の当たりに
し、最後の最後でコレかよ。と、どっと疲れた。が、隣の方々は私が恐縮してしまう
ほど、ニコニコして細々と気を使ってくださった。
そんなわけで、私は無事に日本に戻ってきた。成田は寒かった。気温差で20℃くら
い。
そして都内に移動してデパ地下で食べ物を吟味し、その日に泊まるホテルの部屋に着
いた。
異国でいろんな経験をした私は今、ここ日本に帰ってきた。2週間ホントに異国で過
ごしたのか、不思議な気持ちになったので、エアチケットの半券や、写真を何度も確
認した。日本は清潔で美しく、みんなきれいな服を着て裕福そう。店員さんも笑顔で
親切。お弁当を買ったら、お箸までつけてくれる!ちょっとしたカルチャーショック
だった。
私は、恵まれたところに生まれ育って、家族と友達に快く送り出してもらい、素晴ら
しい旅を経験させてもらって、良い人にたくさん出会って、健康で無事に帰って来ら
れて、なんて幸せなんだろう!ってボロボロ嬉し涙が出てきた。声を出して泣いた。
「素晴らしい私の人生に乾杯!」って缶ビールを飲んで、また嬉しくて声を出して、
泣いた。