●新連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさん、運で動く世界を語ってます。


強運

人生を語る言葉に運・鈍・根というのを聞いたことがある。生きていくには運を呼び

込め、バカになれ、根性を磨けということか。まさに徳川家康のような人を想像して

しまうのだが。

その中の運とはひらたくいえばツキ。一生のうちには本人が努力してどうあがいても

これは運命としかいいようのないことってあるものだ。乗り遅れた電車が事故にあっ

て命拾いをしたとか、一足違いで雨に降られず助かったとか、誰でもそうそうとうな

ずいてくれると思う。

ところで小泉首相は「僕は強運だ」と言ってのける。最近のアメリカ外遊のときも

「僕はついていた。北朝鮮のミサイル攻撃がプレスリーの家に行っていたときだった

ら格好悪かった」と強運を力説していた。確かにプレスリーの真似をして踊る小泉さ

んの姿が新聞に出た日に別の紙面でテポドンの発射で恐れおののく国民の写真が出た

ら一国の総理大臣として許せないもの。

人は防衛本能として運のない人にはついていかない。運の強い人に吸い寄せられるよ

うに寄っていく。寄らば大樹の陰というわけだ。強運の持ち主にはなにか明るく人を

安心させるオーラのようなものがあるような気がする。なんとかそれにあやかりたい、

希望をつなぎたいと思うのだ。小泉首相が高い人気を保ち続けた秘密は案外こんな単

純な理由なのかもしれない。

それでは、新しく自民党総裁になった安倍さんはどうか。あの岸元首相の孫で安倍晋

太郎を父にもち、すんなり選挙地盤をついだのは決して実力ではない。そういう名門

に生まれた運命を持っていた。それに3人の候補の中では、最年少でしかも経験も浅

いのに当選したのも時の運がついていたのだ。国民の人気が高かったのも案外持って

生まれたルックスが良く、タカ派なのにソフトなイメージが幸いしたのかもしれない

し・・・

話は変わるが、最近株式市場では高校野球で優勝した早実の斉藤選手がハンカチを使

ったことでハンカチメーカーの株が上がった。皇室の悠仁さまが誕生したことで育児

用品の株が上がった。経済界でさえこうだ。偶然のできごとでその会社の株があがる

なんて、会社にとって強運が作用したとしかいいようがない。

こうみると強運の人が首相になったり、大衆人気で経済界が動いたり、世の中って案

外ミーハーな要素で動いているような気がする。


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