酩酊放談 文は上一朝(しゃんかずとも)
発言欄のどうにも書かないN先生のピンチヒッターがレギュラーに、
事情通シャンさんが独立コラムに栄転!
センセイ、わが国の政治家の小物ぶりを指摘してます。
なれない と なりたくない
次期国連事務総長に韓国の潘基文外交通商相が選出されるようだ。それにからんでどうし
て日本は国連事務総長になろうとしないのか、という学者諸氏の興味深い意見を読んだ。
国連事務総長というのは国連の事務方のトップであって、国連総会議長よりも地位は下に
なる。が、冷戦下世界中を紛争調停のため飛び回り、飛行機事故で死んだハマーショルド
氏に代表されるようにその存在は議長をしのぎ、事務総長の意見は、ときに安保理事国を
動かすこともある。
安全保障理事会の常任理事国になりたがる日本が、国連事務総長になりたいとさわいだこ
とはない。それについて学者諸氏の意見は、「なれない」と「ならない」に分かれる。
なれない派は、安保常任理事国にもなれない日本に、国連事務総長になる実力があるわけ
がない。ならない派は、国連事務総長は演説で各国代表を説き伏せる力が求められるのに
対して日本人は演説が不得手であるから手を上げない。安全保障理事会は膝詰談判、料亭
政治の世界だからこれは得意中の得意なので常任理事国をねらうという。
これは得て不得手の問題だから目くじらたてるほどのことではないが、見過ごすことので
きない記事が続く。
日本の政治家も官僚も国連事務総長には「なりたくない」のだそうだ。
事務総長の任期は5年。その間の日本における地位の空白がその理由だという。簡単に言
えば政治家は選挙、官僚は出世に響く。5年間の空白は、政治家は選挙民に忘れられ、官
僚は事務次官になれない。
このことは、日本国内での立身出世のほうが大切であり、国際舞台で活躍しようという考
えを持つ政治家も官僚も日本にはいないということだ。日本は必要以上に国連を美化し、
与党も野党も、国際貢献、国際貢献とお題目を唱えるが、この実態をどう受け取れという
のだろうか。
今回、韓国の潘基文氏が国連事務総長に選出されれば、アジアからはビルマのウ・タント
氏に続き二人目である。このままでは日本は発展著しい東南アジア諸国から外交戦略を持
てない国として重きをおかれなくなり、戦前の裏返し、三等国になりさがることは間違い
ない。