●新連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回は、逆境を逆手に取る平常心に感心、って話。
ホリエモンホリエモンが3億円の保釈金を払って保釈された。
拘置所をでるときのマスコミの騒ぎたるや大変なものだった。逮捕されたときはあれほ
どホリエモンバッシングがひどかったのに、まるで英雄を迎えるかのような報道振りで
ある。
大体マスコミというのは、地味なことはいくら正論でも報道はしないが、人の目をひく
事件には過剰な反応を示して煽るものである。そうした偏向した報道のもとに地味で大
切な情報がいくつ埋もれてしまったことか。
ところでマスコミ批判はさておき、どこのテレビでもやっていたので私もやっぱりホリ
エモンの出所の様子をテレビで逐一見ることになった。
印象としては髪は伸び、少しやつれてはいたがすっきりとまるで一皮剥けたような謙虚
さがあったように思う。目も強さを失っていない。
私が感心するのはホリエモンが94日間に及ぶ留置所暮らしで、平常心を失わなかったこ
とである。おびただしい本の差し入れで、知識を磨き、粗末な生活に順応し、逆境にめ
げるどころか自分を見つめる時間にしてしまったことである。
周りを支えていた小物達はさっさと罪を認めてしまった。悪事の張本人ホリエモンはい
まだ起訴事実を認めていない。やっぱりある意味で大物は違うなあ。いいのか悪いのか
わからないがそのしぶとさは只者ではない。
ホリエモンはまだ前途ある青年である。留置所の中での思索の時間を得て、金で買えな
い大切なものがあることに気がついたら、きっと、これからいい仕事をするかもしれな
い。