3/6の日記 文は田島薫
行方不明者の訪問金曜の午後は銀座へ、プロデューサーの尾形さんの友人の個展と、彼にもらった
招待券での山本容子展へ行って来た。
2時間ぐらいで戻って来るつもりだったのが、山本容子展の内容が充実してたも
んで、事務所に戻ったら予定を1時間半ぐらいオーバーしていた。
話は変り、日曜の午後、自宅に遊びに来ていた出版社の友人と、お茶を飲んでたら、玄関の呼び鈴がしつこく鳴り、あれ、この鳴らし方は、って思って出たら、
案の定、行方不明になっていた友人のSだった。
彼は小学校のころ私の家の近所に住んでいて、それから、何か所か引っ越ししたんだけど、いい年の今日まで断続的に私んちへ遊びに来続けていて、少なくとも、
この十年ぐらいは平均2〜3ヶ月に一度ぐらいは顔を見せていたのが、4年ほど前に
来たのを最後に、ぱたりと来なくなり、以前は1年ぐらいはそういうこともよくあ
ったんで、そのうち来るだろう、って気にしてなかったのが、2年ぐらい経っても
来ないんで、電話したら、留守電になっていて、名乗り電話くれるように入れた
のにその後も連絡がつかず、彼の妹に連絡すると、彼女も知らない、って、言い
ながら、そういう人だから、って気にしてない様子。
で、音信不通のまま、2年経ち、3年経ち、こりゃ、ひょっとすると、死んでるのか〜、それとも、交通刑務所にでも入っていて、家族も表現に困ってるかも知れ
ない、って意見もあり、確定するのも怖いのでほっとくことにしといたのだ。
でかい新品のスクーターでやって来た彼は、ごく普通に、おお、だって言いやがるので、おい、どーしてたんだ、連絡して返事も来ないし、って、大声出したら、
平気な顔で、そんなの知らない、なんて言ってる。
聞くと、オーストラリアの大学へ財務学かなにかの研究に2年間行っていて、先
月帰国したそうなんだけど、行く前に家族にもそれを伝えなかったそうだ。
前から、社会性に問題があるやつだ、って感じてたんで、聞いてみれば、ありうることだ、って思い、元気だったんで、よかったよかった、って安心し、それ以
上責めるつもりもなく、おまえは自己中で社会性がないやつだ、って言ったら、
お前だって、そうだろ、って言い返されたのだった。