●連載
がたやま娘のひとりごと         文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

今回は、引かれて行く牛の気持になった、って話。



もーいーよー!

かくれんぼではない。もう結構デス、という意味ダス。

幼稚園のお遊戯会で、ワカメ役を熱演する子供の姿をビデオにおさめている両親のCM

がある。「ウチの子が一番可愛い」ってヤツね。この間、似たような出来事があった・・・

夫の甥っ子のお遊戯会のお誘いを、大人っぽく断ってみた。

甥っ子「ねえねえ、こんどのにちようび、かならずみにきてね!」

私「何時から?」

甥っ子「はちじはん!」

私「・・・あたしゃ寝てる時間だよ。」

って感じで行かなくても良いような雰囲気になった。しかし義理の弟のご両親が、泊り

がけで「可愛い孫のお遊戯会」を見にいらっしゃることになり、前夜に一緒にお食事で

も、とお誘い受けちゃってさあ大変。やっぱりお遊戯会に連れて行かれるのかなぁ、と

ドナドナのメロデイが頭の中を駆け巡った。

夫の実家にお邪魔して、お土産のナマコでしこたま飲んだので、当日の朝は寝坊。だか

ら結局行かなくて済んだ。義理の弟のご両親はちょっとびっくりなさったと思う。田舎

の嫁にあるまじきダラシナ系である。

お昼。ご一行様がお帰りなすった。私は立場的に一応、お昼の仕度みたいな真似事をし

ていた。おかえりなさい、ご一行様がご帰宅なすった。そしたら、帰ってすぐ舅がテレ

ビになんやら接続している。・・・ビデオだ・・・!

小梅太夫が私の頭の中で絶叫していた。チックショー!せっかく逃げられたのに、ココ

で見せられるのだ。私は嫁の立場ゆえ下座。そしてテレビのまん前のお席。魅せられて

(見せられて)いる・・!

彼は北風役なんだそうだ。ああそうなんですか。小さな人間がなんか走ってたけど、誰

が誰なんだか判らなかったし、何のお話なのかもサッパリ分からなかった。ピアニカ演

奏の場面では、私は彼の指使いの間違いを指摘した。

「うん、一番可愛い!ねぇ、一番可愛いねぇ!」って姑と義理の弟のご両親がめっちゃ

褒めまくっていた。んだな。孫だ。可愛くないハズねえべな。っていうか、つい1時間

前、みなさんライヴで見てなかったっけ?って思った。

私はもういっぱいいっぱいで、♪なんで〜こんなに〜かわいいのがよぉ〜んん〜孫と〜

いう名の〜たがらも〜のぉ〜♪ってO泉逸郎さんのヒット曲を歯ぎしりしながら口ずさ

んだ。


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