●新連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、今回は世の中の矛盾を、寓話にしてくれました。



鬼のパンツ


フニクリ フニクラの替え歌で


♪鬼のパンツはいいパンツ 強いぞ強いぞ


というのをご存知でしょうか


鬼のパンツはトラの皮でできていて丈夫で強いのです





ほとんどの日本の女は鬼のパンツを洗っていました。


汚れては洗い、また汚れては洗い、


せっせっと洗いました。


まるで洗濯女という職業でもあるかのように・・・





あるとき、こんな洗いにくいものを


なぜ私が洗わなくちゃ行けないの、


とある女がパンツを投げ出しました。


私も、私もとたくさんの女たちが洗濯をやめました


洗濯は仕事ではなく私事、と考えたのです


世の中には鬼のパンツを洗っているよりも


楽しいことがたくさんあることを女たちは知りました





もう女は鬼のパンツを洗うだけの人生なんて考えられません。


その結果、


結婚しない女、子供を産まない女がどんどんふえています。


終わりのない少子化、人口減が加速しています


一体日本の未来はどうなるのでしょうか


「人口が減れば社会にゆとりが生まれ、生活は豊かになる」


という楽観論、そんなの本当でしょうか


政府はお金対策で乗り切ろうとしていますが、そんな小手先では


解決できません


過度な自己愛と自信に満ちた若者の急増


洗濯時間も許されない過密な社会システム


子供を健全で安全に育てることのできない環境


など、根っこはもっと深いのです





男も女も鬼のパンツを穿けばいいのにな、


そして自分で洗えばいいのにな、と思います


なにしろ丈夫で強い鬼のパンツなのですから


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