今週の雑感(昔のもありの) 文はさぬがゆたか
ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
感動もあり、そーでもないのもあり、で、謙虚にタイトルは雑感のまま。
『 たかがサッカーとイラストレーションな話』
早々と撤退したWCサッカー日本代表のおかげで、昨晩も落ち着いて
イングランド/エクアドル戦が楽しめた。不謹慎な言い方なのは百も承知
だけれど、熱っぽい時の判断は、大事な場面でFWの柳沢があさってに打って
しまうシュートのように、本当に厄介なものなのだと思う。それらの筋肉を
持たないボクらがやんや言うのも悪い気もするし、それでも問いたい気分の
連日から解放され、やっと本来のサッカーの持つ凄さを楽しめるようになった。
ボールを持っている選手より、持っていない選手の動き。持たせないようにして
いる動きと、持つと思わせる動き。どれだけスーパーなストライカーでも何も
持っていなければ単なる往復走りやさんにされてしまう。そのへんのダミー合戦が
どれだけ巧みなのか?とか、それをも超えたプレーに魅せられるのかとドキドキする。
ジュニアから何年も走り続け、何千回も「あっちに行け!こっちに走れ!上がれ!
下がれ!遅い!早過ぎる!」と言われ続けての花形選手なのにだもん。
そこに何かがあるからこちらとしては楽しい。
運良くサッカー選手にならなかったボクらは各々の仕事を選び、その都度誰からも
特別吊るし上げにされないでいる幸せを思う。
「営業のくせに今月まだ一件も得意先を開発してないじゃないか!」なんて
知らない人に言われたり、卵を投げられたりしたら・・・・。
そんな最中の週末。う〜んと昔のデッサン学校の先輩の個展があり、オープニングに
顔を出した。四谷にあるその学校は小さいながらも有名だと思われ、営利目的とは
思えないほどの学費で十分に学べたのも有難かった。残念ながらその校長さんは不慮の
事故で亡くなってしまったけれど、その想いを存分にひきついた先輩達の作品展だ。
土曜の午後、銀座の7丁目にある月光荘というギャラリーで20年以上もの久々先輩達と
会った。もちろん会っていた人もいたけれど、ドアを開けた瞬間からタイムマシーンで
後戻り。すっかりぼっちゃん扱いに戻ってしまった(笑)
それはそれで気分が良く先輩達の清清しい直筆のイラストレーションに魅せられ、わけもわからずどうにかイラストレーション稼業で食べてきただけの自分が恥ずかしかった。
気取る必要もなく今の思いを語り、絵本の完成本も渡し見てもらう。すっかりロマンスグレーな先生にも、活躍中のイラストレーターの先輩達にも、若手の女性イラストレー
ターにも定規いらずの時間になれた。
デジタル制作に慣れてたぶん鈍感になりつつあった今、やはり原画の染色の粉ぽさや紙質がたまらなく暖かく感じ、何かを忘れ出していることの再確認と再会に感謝の日に
なった。
70年代ファッションの先駆けだった人達はやはり今でも十分に可愛い中年になり、髪がふさふさだった先生は薄くなってもスタイリストだ。各地に散らばっても仕事が違って
もお洒落な生き方をしていると思った。シャンペンとワインで十分に酔ったのち、みんな
と銀座のカフェを楽しみ仕上げに蕎麦を食べる。大きなテーブルで向いあいながら
「やはり日本酒いただきましょうよ!」
ってことですっかり身も仕上がってしまったわけだったのであるのであるウ・・・。
で、勘定は一応ワリカンでってことになり端数は「キミが若いんだから頂きなさい」って
言葉で頂いた。そんなわけで陽気な銀座の夜を歩いて帰ったのであります。